昔は「結核」という感染症で命を落とすことがよくありました。
今では抗生物質の投与と栄養を含めた環境面での改善によって、結核は「死の病」ということはなくなりました。
しかし、現代社会でもまだ結核感染症はなくなっていません。
オーストラリアでは、年間に1,400人以上が発症しています。
潜在感染といって、結核菌と共生している人は、120万人にものぼるようです。
この潜在感染の人は、体力が弱ったときに、結核菌が活性化して炎症を引き起こします。
そして、結核感染症の治療には、1人2,500万円以上のコストがかかっています。
膨大な治療費ですね・・・・・・(‘◇‘)ゞ
さらに・・・・・
抗生物質に耐性のある結核菌が増加しているため、治療困難なケースが増えています。。。。。。。
さて、ゼブラフィッシュというコイ科の熱帯淡水魚を使った結核感染モデルの最新の研究結果が報告されました(J Infect Dis. 2019 Mar 16. pii: jiz110)。
結核感染している魚に、血小板の血塊を作る作用をブロックすると・・・・
結核感染症が改善したのです!
このとき使用した物質は、ヘルシィネス・サブスタンス(健康の場を創る物質)の代表であるアスピリン。
アスピリンによって血小板の作用をブロックすると結核感染症が落ち着いたのです。
これは、血小板からエイコサノイドやセロトニンとよばれる炎症性物質の放出がアスピリンによって抑えられたからです(
Metab Brain Dis. 2004 Jun;19(1-2):71-7)(Stroke. 1985 Jan-Feb;16(1):5-9)。
つまり、結核菌感染症で血小板から炎症をオンにする物質が放出されることで、状態が悪化していくといくことです。
結核菌そのものを叩くのではなく、結核菌感染症で体内でおこる生体反応の過剰を抑える方がよりリーゾナブルでコストもかからないのですね。
感染症というのは、感染する病原体そのものの問題ではなく、感染によって起こる私たち側の反応が、感染症を左右するのです。
糖のエネルギー代謝が回っていれば、感染微生物を速やかに処理します。そこには炎症は引き起こされません。
今回のアスピリンも、血小板からの炎症性物質を抑えるという作用以上に、「糖のエネルギー代謝を高める」という本来の作用が結核感染症の改善につながったのは間違いありません(^_-)-☆。