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【ケチャップの知られざる落とし穴:身近な調味料が秘める健康リスク】

 

日本の家庭の冷蔵庫の中を開けると、たいていはマヨネーズとケチャップが入っています。マヨネーズの危険性についてお伝えしましたが、ケチャップも超加工品である以上、健康に与える問題を孕んでいます。

一般に「ケチャップは野菜(トマト)由来だからヘルシー」というイメージを持っていませんか?

でも実は、ケチャップはコーンシロップと人工添加物の“見えないマトリックス”。普段何気なく食卓に並ぶその1本が、思わぬ健康リスクをはらんでいるかもしれません。

⭐️コーンシロップ(HFCS)と添加物のトリック

ケチャップの甘みの正体は、しばしば「コーンシロップ(ブドウ糖果糖液糖、HFCS)」――ジュースやお菓子にも使われる安価な甘味料です。

例えるなら、“液体キャンディ”のようなもので、体に入ると血糖値を急激に跳ね上げ、やがて肥満や2型糖尿病、脂質異常、さらには脂肪肝や心臓病のリスクさえ高めてしまうのです。動物実験では、このHFCSが腸の腫瘍を増やす可能性さえ示されました。

そして、うま味調味料としてよく知られるMSG(グルタミン酸ナトリウム)。明確な発がん性の証拠は少ないものの、過剰摂取は肥満や神経系への影響、肝臓や生殖機能へ不調を及ぼす恐れも指摘されています。

⭐️保存料・添加物という“影の主役たち”

ケチャップの保存に欠かせない安息香酸ナトリウム(ソルビン酸塩)は、ビタミンC(アスコルビン酸)と反応するとベンゼンという発がん性物質が生じます。通常の食品中のベンゼンレベルは食品基準内とされていますが、私たちはケチャップだけを食べる訳ではありません。

「添加物のカクテル」を毎日摂取することの長期的影響は、まだ十分に調べられていないのです。

⭐️ケチャップのプラスチック容器

プラスチック容器からは、「永遠の毒性物質」ことPFAS(ピーファス)が溶出する恐れも報告されており、これらは体内や環境で分解されにくく、蓄積性と毒性が問題視されています。

⭐️重金属・微生物汚染の現実

まるで“ロシアンルーレット”のように、特に無名ブランドや輸入品のケチャップには基準値を超える鉛やカドミウムなどの重金属や、基準を上回る細菌汚染が報告されています。

パキスタンの研究では、市販製品のうちいくつかで基準値に近い・あるいは超える鉛とカドミウム、さらに衛生不十分による細菌過剰が確認されました。大量生産している大手ブランドでも検査していないだけで、注意を要します。

 

⭐️塩化ナトリウムの問題

「一さじのケチャップ」――そこには想像以上の安価な化学合成の塩化ナトリウムが潜んでいます。摂りすぎると虫歯や高血圧、血管疾患のリスクが跳ね上がります。

実際、2024年の研究では、ケチャップのナトリウム含有量は非常に高いことが報告されています。

 

ちなみに、19世紀までの英語圏における商業ケチャップには、発癌物質である石炭タールやフェノールのほか、ホウ酸など健康を害する化学的不純物が一般的に添加されていました。

 

⭐️超加工食品がもたらす現代型リスク

ケチャップは防腐剤・増粘剤・人工香料がふんだんに使われる「超加工食品」の代表格。

超加工食品をたくさん摂る人は、認知症や早期死亡のリスクが増えることが大規模研究で示されています。腸のバリアを壊すことで、体内で炎症を招くリスクも無視できません。

⭐️“からっぽ”の栄養

最後に――ケチャップはトマト由来とはいえ、加工の過程でビタミンやミネラルはごく微量しか残りません。すなわち「空っぽの栄養」。むしろケチャップは、コーンシロップ、塩化ナトリウムと添加物という人工超加工品の摂取源として考えるのが妥当です。健康のためには、“ケチャップ=野菜”と安易に考えないことが大切です。

 

どうしてもケチャップが必要という場合は、ご自分で手作りしたものをガラス瓶に保管して使用しましょう。

 

参考文献
1. Effects of tomato ketchup and tomato paste extract on the growth of aberrant crypt foci in the colon of mice. BMC Complement Med Ther. 2023, 23, 56
2. Monosodium glutamate: A villain and promoter of metabolic syndrome? Frontiers in Nutrition. 2022, 9, 856650
3. Review on chemistry of benzoic acid and its related preservatives: … J Food Sci Technol. 2014, 51(7), 1371-1385
4. Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) in food packaging: Current evidence. Environmental Science & Technology Letters. 2021, 8(6), 424-430
5. Assessment of Heavy Metals and Microbial Load in Tomato Ketchup. Indus J Biosci Res. 2025, 6(2), 45-52
6. The influence of salt reduction with encapsulated oleoresins on the nutritional and sensory quality of tomato ketchup. Frontiers in Nutrition. 2024, 11, 1456319
7. 『Tomato Ketchup: The American invention that became worldwide condiment』 Grub Americana
8. Ultra-processed food consumption and risk of dementia: prospective study. The BMJ. 2022, 378, e068921

 

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