「その健康習慣、実は逆効果!? 食物繊維の落とし穴」
近年、“腸活”が健康ブームの中心に位置し、食物繊維は欠かせない存在とされています。
スーパーやコンビニには「食物繊維入り」と大きくアピールされたお茶やドリンクが並び、健康食品には「おなかの調子を整える」「糖や脂肪の吸収を抑える」などの効果が謳われています。
その中心成分として使用されることの多いのが難消化性デキストリン。遺伝子組み換えトウモロコシ由来のデンプンを人工的に加工して作られるこの成分は、確かに“食物繊維”ですが、あなたの腸に本当に良いのでしょうか?
実は、食物繊維の摂りすぎが腸内環境に深刻な負担をかけ、逆効果になる場合があることをご存じでしょうか?特に不溶性食物繊維(水に溶けにくいタイプ)は、消化が難しく、腸内で思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
食物繊維が引き起こす“腸内バクテリア異常増殖”
消化されない食物繊維は、腸内で便として排出されるだけではありません。この過程で腸内バクテリアが過剰に増殖する原因となります。特に不溶性食物繊維は、バクテリアの大好物。その結果、次のような問題が発生します。
- 大腸内のバクテリアが異常増殖
- バクテリアが小腸に侵入し占拠する(SIBO: 小腸細菌異常増殖症)
SIBOが引き起こす全身の病態
この状態に陥ると、以下のような深刻な病気の原因になる可能性があります。
・脂肪肝、肝炎、肝硬変
・慢性膵炎
・肥満
・心不全
・慢性腎不全
・甲状腺機能低下症
・パーキンソン病
・うつ病
・全身性硬化症
・嚢胞線維症・・・・
などあらゆる全身の病態を引き起こす原因となります。
参考文献
Association between Gut Dysbiosis and the Occurrence of SIBO, LIBO, SIFO and IMO. Microorganisms. 2023 Feb 24;11(3):573.
腸内細菌が過剰に増えると、なぜ全身の病態を引き起こすのか?
本来、小腸上部(および十二指腸)は栄養素を吸収する場所で、バクテリアはほとんど存在していません。
ここにバクテリアが繁殖することでやっかいなことが起こります。
バクテリアが死滅した残骸なども小腸から吸収されることになります。
このバクテリアの死骸の一部に、血液中に入ると強い炎症を引き起こす物質があります。
それがバクテリアの細胞壁の成分である「内毒素(エンドトキシン)」と呼ばれる物質です。
この内毒素が小腸から吸収されて、全身の血液に入ると、その血液を供給された全身の臓器に激しい炎症が起きます。
これをエンドトキシン血症といいます。
SIBOから全身の病態につながるのはエンドトキシン血症になるからです。
参考文献
・Show Me What You Have Inside—The Complex Interplay between SIBO and Multiple Medical Conditions—A Systematic Review. Nutrients. 2023;15:90.
SIBOの背後には、バクテリアが死滅した際に放出される「内毒素(エンドトキシン)」が関係しています。このエンドトキシンが血液中に入り込むと、全身の臓器に激しい炎症を引き起こし、エンドトキシン血症と呼ばれる危険な状態を招きます。
人工合成食物繊維の危険性と食品の選び方
自然の食品に含まれる食物繊維(ゴボウやキャベツなど)は、適量を守れば腸に良い影響を与えます。しかし、問題となるのはサプリメントや添加物として摂取する合成食物繊維です。
以下の化学合成繊維類には注意が必要です:
- ペクチン、コーンブラン、寒天
- オートブラン、未分解カラギナン
- オオバコ、グアーガム、アルファルファ
これらは動物実験において、大腸がんやその他の健康リスクとの関連が指摘されています。
参考文献
・Relationship between dietary fiber and cancer: metabolic, physiologic, and cellular mechanisms.Proc Soc Exp Biol Med. 1986 Dec;183(3):299-310.
健康のための正しい選択を
食物繊維は「健康に良い」というイメージが広まっていますが、サプリメントなどでの過剰摂取は、むしろ逆効果となり、心身の不調を引き起こす可能性があります。加工食品やサプリメントなどの人工物を避け、自然の食品を中心にした食生活を心がけることが、腸と全身の健康を守る第一歩です。