糖から脂肪のエネルギー代謝に変わることを「メタボリックスイッチ」と呼び、これによって様々な慢性病や老化が引き起こされることを拙著でお伝えしました(拙著『慢性病の原因はメタボリックスイッチにあった!』)。
さて、人工甘味料はリーキーガットを引き起こすことを過去記事でお伝えいたしました。
その代表であるアスパルテーム(aspartame)は、基礎的なサイエンスを学ぶのにとても良い題材です。
アスパルテームを含むダイエット飲料や加工食品を摂取すると、私たちの小腸で分解されます。
その分解産物は、フェニルアラニン(50%)、アスパラギン酸(40%)とメタノール(10%)です(The debate over neurotransmitter interaction in aspartame usage. J. Clin. Neurosci. 2018;56)。この分解産物が小腸から吸収されて血液中に入ります。
過剰(日常的)にアスパルテームを摂取すると、これらの分解産物が過剰になります。
現在のところ、アスパルテーム過剰摂取で引き起こされる問題として以下のものが報告されています(Aspartame—True or False? Narrative Review of Safety Analysis of General Use in Products. Nutrients. 2021 Jun; 13(6): 1957)。
・肥満・糖尿病
・アルツハイマー病、多発性硬化症などの神経変性疾患
・自閉症、多動症、不安、焦燥感などの精神行動異常
・アレルギー、湿疹
・発ガン
・催奇形性、胎児異常
これらの問題は実は同じ原因で起こっています。
その原因とは、アスパルテームの分解産物であるメタノールの過剰です。
メタノールは肝臓で代謝されてホルムアルデヒド(formaldehyde)およびギ酸(formic acid)になります(代謝の過程でも大量の活性酸素が放出される)。
特にこのホルムアルデヒドは、拙著『プーファフリーであなたはよみがえる』でもご紹介したように発ガン性のある猛毒物質です。
ホルムアルデヒドは、他のプーファから産生されるアルデヒドを同じく、活性酸素を大量に発生させ、かつミトコンドリアダメージを与えて糖のエネルギー代謝を低下させます。
また、メタノールの代謝過程で発生する大量の活性酸素やホルムアルデヒドによって、細胞内のタンパク質が変性(ALEs)し、炎症ゴミになります(Formaldehyde derived from dietary aspartame binds to tissue components in vivo. Life Sci. 1998;63)(Effect of methanol intoxication on free-radical induced protein oxidation. J. Appl. Toxicol. 2000;20)(Neurobehavioral changes and activation of neurodegenerative apoptosis on long-term consumption of aspartame in the rat brain. J. Nutr. Intermed. Metab. 2015;2)。
実際にアスパルテームはアミロイド変性タンパク質の形成を促進します(Self-Assembly of Artificial Sweetener Aspartame Yields Amyloid-like Cytotoxic Nanostructures. ACS Nano. 2019;13)。
プリオンなどの神経変性疾患の原因は、プーファのアルデヒドがタンパク質を変性させることで起こることを拙著メタボリックスイッチ本でも詳述しました。
この炎症ゴミ(アルデヒド付加物質)の大量発生は、慢性炎症を引き起こして上記のような様々な弊害を生みます。
炎症過程では、ストレスホルモンが放出されるようになります。
実際に、アスパルテーム摂取によって、ストレスホルモンの代表であるコルチゾールが増加することが報告されています(Imbalance of the oxidant—Antioxidant status by aspartame in the organs of immune system of Wistar albino rats. Afr. J. Pharm. Pharmacol. 2014;8)(Effect of chronic exposure to aspartame on oxidative stress in brain discrete regions of albino rats. J. Biosci. 2012;37)。
コルチゾールが放出されると、リポリシス(脂肪分解)およびメタボリックスイッチが引き起こされます。
炎症、糖のエネルギー代謝ブロック→コルチゾールなどのストレスホルモン分泌→リポリシス&メタボリックスイッチ→さらなる糖のエネルギー代謝ブロックによって完全に負の連鎖に入って行きます(シックネス・フィールド)。
アスパルテームの代謝産物であるアスパラギン酸は脳神経系の神経毒になり得ますが、それは脳神経細胞を過剰興奮させることはあっても、メタボリックスイッチを引き起こしてガンなどの多岐に渡る慢性病を同時発生させることはありません。
アスパルテームの過剰摂取は、プーファの過剰摂取と同じく、アルデヒドという発ガン物質を体内で大量発生させるため危険なのです。
砂糖フリー(sugar-free)の恐ろしさを少しでも理解して頂ければ幸いです(^_−)−☆。