『果糖中毒』を書いたロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)博士の記事がインターネット上にも出回っています。
ラスティングさん。
あのヤドキン( John Yudkin)さんととんでもない本を出した人です。
「砂糖悪玉説」でまだがんばっておられるようです(^○^)。
米国良識派ではとうの昔にフラウド(Fraud)として認定されている人ですが。。。
日本はやはり数年遅れなのですね・・・
それでは早速、このラスティグ氏の主張を一つ一つ見ていきましょう。
ラスティング氏の主張1
- 「果糖はメイラード反応をブドウ糖より7倍速く発生させる?」
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メイラード反応は糖とタンパク質の反応です。しかし、『プーファ・フリーであなたはよみがえる』で書きましたが、メイラード反応よりはるかに速く形成されるのがプーファとタンパク質の反応です。
糖との比較ではなく、プーファとの比較で書くべきです。
なぜなら、実際に慢性病を引き起こしているのはメイラード反応で形成される終末糖化産物(AGEs)ではなく、脂質過酸化反応で形成される終末過酸化脂質産物(ALEs)だからです。
さらに、終末糖化産物(AGEs)は、糖のエネルギ―代謝が低下することで起こります(基礎医学のビタミンのところで詳述しています)。糖のエネルギ―代謝の低下の原因はプーファです!
実際の体内では果糖はすぐにエネルギ―源として使用されるか、グリコーゲンとなって貯蓄に回る(低血糖という緊急事態に備える)ので、メイラード反応を起こしている暇などありません(^○^)。
したがって、主張1は実際の生体内では大きな問題を引き起こさないとなります!(^^)!。
ラスティグ氏の主張2
- 「果糖から尿酸が生まれ、痛風をもたらし、血圧が上がる」
(ラスティグさんの説明) 処理量が3倍になるということは、ブドウ糖だけだったときに比べて、肝臓が代謝のために必要とするエネルギーも3倍になるということだ。こうして、肝臓細胞からアデノシン3リン酸(ATP、細胞内でエネルギーを運ぶ重要な化学物質)が奪われる。ATPが欠乏すると、老廃物である尿酸が生成され、痛風をもたらすとともに、血圧を上昇させる。
⇒果糖から尿酸が生成されるというのはほとんどありません。尿酸を形成するのは核酸(DNAの構成要素)であるプリン体です。
痛風は尿酸が高いから発生する病態ではありません。尿酸はあくまでも結果にすぎません。病気の場では、尿酸ができる過程で発生するフリーラジカル(+鉄+プーファ)によって痛風が引き起こされます。
健康の場(糖のエネルギ―代謝が回っている)では尿酸ができる過程でもフリーラジカルは発生しないため、痛風は起きません。
また尿酸は老廃物ではありません。体内で最も強力な抗酸化作用を持つ物質であり、かつフリーの鉄(プーファと並んで最も危険!)をキレートする作用もあります。
血圧を上げる原因は動脈硬化です。動脈硬化の原因は・・・・
もうみなさんお分かりですよね(#^.^#)。
(このあたりは『糖尿病は砂糖で治す』および基礎医学DVDで詳述しております)。
ラスティグ氏の主張3
- 「果糖は直接ミトコンドリアに入り、パンクさせる」
(ラスティグさんの説明) 果糖はグリコーゲンの生成過程には入らずに、直接ミトコンドリアに入る。するとアセチルCoA(コエー)が過剰に生成され、それを代謝するミトコンドリアの能力を超えてしまう。
⇒果糖は細胞質の解糖系の初段階に入ります。直接ミトコンドリアに入るのは、脂肪、アミノ酸をエネルギ―の燃料にしたとき(病気のパターン)です。
アセチルCoAが大量にできるのは、脂肪を燃焼したときです。ブドウ糖(果糖)1分子で2分子のアセチルCoA。脂肪ではパルミチン酸を例にとると8分子のアセチルCoA。
脂肪は果糖よりも4倍多くアセチルCoAを産出します。その結果、ATP産生量も脂肪は多いので、脂肪はカロリーが糖やタンパク質より高いのです。
また果糖は、グリコーゲン備蓄を促進します。
ラスティグさんの主張4
- 果糖の代謝プロセス3 脂肪になり、心臓病を押し進める
余ったアセチルCoAはミトコンドリアを離れ、代謝されて脂肪になり、心臓病を押し進める原因になる。●果糖の代謝プロセス4 肝臓がインスリン抵抗性になる
果糖は、肝臓内で炎症を引き起こす肝酵素を活性化する。これによりインスリン作用の主要メッセンジャーが不活性化され、肝臓はインスリン抵抗性になる。●果糖の代謝プロセス5 血糖値が上がり、糖尿病につながる
肝臓でインスリンの作用が欠乏するということは、ブドウ糖を低く抑える手段がまったくなくなるということだ。そのため、血糖値が上がり、究極的に糖尿病が引き起こされる。●果糖の代謝プロセス6 内臓脂肪が増える
肝臓にインスリン抵抗性があると、膵臓が余分なインスリンを分泌しなければならなくなり、余分なエネルギーを脂肪細胞に送ることになって、最終的に肥満になる。エネルギーが最も多く詰めこまれる先は、代謝性疾患に関連付けられている内臓脂肪細胞だ。」
・・・・・・・
⇒
はい、これらは同じことを繰り返し述べているので、まとめて解説しますね。
まず果糖が脂肪になることは現実の生活ではありえません。これは新しくお届けする『糖・果糖集中講義~糖の3つの神話』というDVDで詳しくメカニズムをお伝えしています。
糖や果糖が脂肪になるのは1日最低でも500g以上を摂取しないと起こり得ません(肥満の米国人でも最高値が1日250g程度です(^○^))。運動量やカロリ―消費量が多い人では、1日500g摂取しても脂肪に変換されません。
脂肪に変換する(脂肪新生という)のは多数の酵素を要し、非常にエネルギーを要するステップです。脂肪新生は、果糖の主要な作用である糖のエネルギ―代謝を高め、グリコーゲンを増やす(最大のストレスである低血糖に備える)などでもさらに果糖が余り、しかもエネルチ―代謝が回っていないと行えない難作業なのです。
したがって、私たちの体は普通は脂肪新生は盛んに行いません。
内臓脂肪を含めて各組織に脂肪を蓄積させるのは脂肪です。脂肪の中でも糖のエネルギ―代謝を落とすプーファです。
果糖は糖のエネルギ―代謝を高める作用もあるため、インシュリン感受性を高めます。
肝臓のインシュリン感受性を低下させるのは、プーファ(あるいは高脂肪食)です。プーファによってインシュリン感受性が低下するため、血糖値が高くなり、糖尿病になります。
(この詳しいメカニズムは『続・免疫革命(微生物と免疫&メタ炎症)』DVDや次作の『続・免疫革命』で詳しくお伝えしていきますのでご期待ください!(^^)!)
http://paleo.or.jp/dvd_health111/
今回、私が解説した内容はすべて基礎的なサイエンスです。あまりにも初歩的なところで間違いが多いので驚きますね。
その他もこの本の内容は3段論法も多く、基本的な論理構成も定かではありません。
ラスティグさんの唱える砂糖や果糖悪玉説が正しいのか、それとも基礎的なサイエンスが正しいのか。
あとはみなさんの判断に委ねるしかありません(*^。^*)。
最後に『糖総集編』DVDに今回述べたことを詳しくお伝えしていますので、是非ご視聴ください(^○^)。