『「機能性食品」という罠(ワナ)〜俯瞰シリーズ』

 

 

一般大衆を誘導する健康ポップカルチャーだけでなく、現代医学・栄養学でさえ、いまだに「ある食品に含まれるある成分がガンや糖尿病などの生活習慣病に効果がある」として喧伝しています。

 

 

現代医学・栄養学の場合は、その成分を販売する多国籍企業の資金で研究していることも関係しています。

 

 

このような食品に含まれる微量成分を取り上げて、健康増進作用を喧伝する誤謬(ごびゅう)を表す言葉として「機能性幻想」と呼ぶほどぴったりものはないでしょう。

 

 

この健康増進作用を謳う微量成分の代表は、ポリフェノールなどの抗酸化物質です。

 

 

 

拙著『奇跡のハチミツ自然療法』にも、そのことを詳述しています。

 

 

 

この機能性幻想について、分かりやすい記事が掲載されていましたので、理解を深めて頂くためにも是非以下の掲載記事をご覧になってください。

 

(転載開始)

制度化された機能性幻想

機能性成分を含む食品を食べれば、私たちの体内でその機能性が発揮されるのか?

 

2015年4月から、「機能性表示食品」という新しい制度が始まりました。食品成分に対する「機能性幻想」を制度化したものといえるでしょう。「食品は五大栄養素以外にも多様な機能性成分を含んでいて、生体機能の調節や生活習慣病予防の機能があることがわかってきている。だから、それらを積極的に摂取すると健康になれる」という論です。

 

食品には三つの機能があり、エネルギーや栄養素のはたらきを一次機能、嗜好面でのはたらきを二次機能、生体調節系や疾病予防でのはたらきを三次機能とする「食品機能論」は、1980年代半ばに登場しました。ここでいう三次機能に関わる食品中の物質、すなわち、生活習慣病などを予防し、疾病リスクを軽減するとされる食品成分が「機能性成分」であり、栄養素や嗜好成分ではありません。

 

では、機能性成分を含む食品を食べれば、私たちの体内でその機能性が発揮されるのでしょうか?

 

たとえば、食品「A」が物質「B」を含んでいて、「B」の機能性として「Bは、厳しい環境や外敵から身を守る生体防御のためにつくり出された物質なので抗菌作用があります。また、強い抗酸化作用もあり、発がんを抑制する効果や老化防止作用、毛細血管を丈夫にする作用、抗アレルギー作用等が報告されています」という説明があったとしましょう。それに続くのは、「だから『A』には抗菌作用や強い抗酸化作用、発がんを抑制する効果や老化防止作用、毛細血管を丈夫にする作用、抗アレルギー作用がある」というロジックです。

 

単純に信じてしまいそうですが、ここで考えなければならないのは、列挙された物質「B」の「機能性」が、どのような実験条件で、どのような量をどれくらいの期間、与えたときに発現するものなのかを冷静に見極めることです。はたして、常識的な量の「A」を食べることで、その「機能性」は発揮されるのでしょうか?

 

おそらくそれはありえないでしょう。常識的な摂取量に、その「機能性」を発揮する量の物質が含まれていたら、逆に怖ろしいことです。

 

機能性が発揮されるのは「ありえない量」を食べた時

たとえば、ラットのエサにニガウリ(ゴーヤ)の乾燥粉末を添加して約5週間食べさせたところ、血糖値が約30パーセント低下したという研究がありました。この実験結果から、「ニガウリには血糖値を下げる機能性成分が含まれる」ということはできます。

 

しかし、この実験でラットが毎日食べたニガウリの量を体重50kgのヒトに換算すると、生のニガウリ9.5kgに相当するのです。ニガウリ1本は200g程度ですから、9.5kgものニガウリはとうてい、毎日食べられる量ではありません。常識的な量のニガウリを食べても、血糖値が下がることはないのです。

 

また、たとえば「強い骨をつくる」などの機能性の表示が、健康の増進に役立つという考え方そのものにも問題があります。

 

そもそも「強い骨」は、ある特定の食品成分を食べただけでつくられるものではありません。適切な食生活と適度な身体活動の実践、そして一定量の日光を浴びることなどが欠かせないのです。機能性の表示によって「これを食べるだけで強い骨をつくれる」などの“幻想”を消費者に与え、生活全般に見直しが必要であることを忘れさせてしまうことは問題です。

 

「体重を減らすのを助ける」といった表示にも、同様のことがいえます。多めの体重を減らすには、何よりもまず、食事量を少し減らして身体活動量を少し増やすことです。それを実践したうえで、そのように機能性を表示する食品を利用するのなら、まだいいでしょう。

 

でも、多くの人はその食品を摂ることを“免罪符”にしてしまいます。

 

「これを飲んだからもう少し余計に食べてもいいよね。運動もしなくていいよね」と、自らに甘えを許す理由にしてしまうのです。みなさんのなかにも、思い当たるフシがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?(『玄米は「からだにいい」と信じている人こそハマりやすい「食べ物の微量成分」という免罪符』現代ビジネス、4/24(水) )

 

 

(転載終了)

 

このある成分だけにハイライトする手法の究極がサプリメントです。

 

 

一般にみなさんに体に良いとされる抗酸化物質などの成分は、実際は植物の毒性物質(虫よけ)などの危険な物質であることが多いです。

 

 

 

また、この記事にも書かれていますが、ある成分に効果があるという実験においての成分量は、日常ではあり得ない量での話です(逆にフルクトース(果糖)に害があるという実験においての量も日常ではあり得ない量であることを拙著『奇跡のハチミツ自然療法』でも詳述しています)。

 

 

 

 

通常の食事では大量摂取することがないので、それほど問題が出ない可能性はあります。

 

 

 

しかし、その成分だけをサプリメントなどで高濃度に摂取すると、必ず発ガンや臓器障害などの副作用が出ます(例:レスベラトロールという抗酸化物質)。

 

 

ある食品に含まれる微量の成分だけをハイライトするのは、現代サイエンスの迷妄である「要素還元主義(ようそかんげんしゅぎ)」の典型例です。

 

 

 

「要素還元主義(ようそかんげんしゅぎ)」とは、自然を限りなく細かく分解していくと、その真理が分かるとする迷妄です。

 

 

炊いた米をいくら細かく成分に分解しても、米については実際何も知ることができません。そして、そのバラバラに分解した成分を足し合わせても、ふっくらと炊いた米を作ることはできません。

 

 

 

いくら物を細かく分解しても、何もわからないどころか、分解物で全体を再構成することさえできないのです。

 

 

 

生命は、バラバラの部品が組み合わさったプラモデルではないからです😃。

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