Book

『プーファ本に対する吉富氏の書評について』

この書評と名付けた実質的な批判は、きちんとご自分の考えの根拠となる論文(Lipids November 1989, Volume 24, Issue 11, pp 970–975)を出しているので、公開討論する意義があります。

 

 

いろいろと個別の論文について細かい批判をしていますが、何を言いたいかというと「オメガ3とくにEPAなどは液体中では酸化しない。」(https://www.facebook.com/photo.php?fbid=523730231140683&set=pb.100005111323056.-2207520000.1504528302.&type=3&theater)ということのようです。

早速「水溶液中ではEPAは酸化しない」という根拠?となる論文を精査いたしました。

 

この実験では液体中のプーファの脂質過酸化反応を比較しています。

 

まず図1を見てみましょう。

 

 

 

縦軸は酸化されていないプーファ量を示しています。横軸は紫外線照射でプーファの脂質過酸化を誘発しています。この図はプーファの脂質過酸化のスピードがプーファによって違うことを推測できるデータとなっています。

 

さて、この実験では酸化されていないプーファ量は

EPA>DHA>リノレイン酸(オメガ3の大元)>アラキドン酸>DGLA(オメガ6のリノール酸の代謝産物)

となっています。

各プーファの不飽和度(二重結合の数)は

EPA=5

DHA=6

リノレイン酸(オメガ3の大元)=3

アラキドン酸=4

DGLA=3

です。
プーファの不飽和度(二重結合の数)と脂質酸化で消費されるスピードとの関係はこの実験結果だけでは何も言えません。あえて言えることは、この図で取り上げているプーファに関しては、この実験においてはオメガ3よりオメガ6の方が、脂質過酸化反応は速いのではないかということです。

 

さて、次にプーファの自動酸化で形成されるアルデヒド類(過酸化脂質)をしてマロンダイアルデハイド(MDA)を測定した結果が図2に掲載されています。

 

 

MDAが形成されるスピードは

アラキドン酸>DHA> DGLA(オメガ6のリノール酸の代謝産物)> EPA>GLA>

リノレイン酸

 

となっています。アラキドン酸(オメガ6のリノール酸の代謝産物)が一番MDAを発生させるスピードが速く、その次にDHAになっています。

 

それではMDA(過酸化脂質)の総量はどうでしょうか?

 

これは図5に掲載されていましたが、

アラキドン酸>DHA> GLA(オメガ6のリノール酸の代謝産物)> EPA>リノレイン酸>リノール酸

となっています。

 

MDA(過酸化脂質)の総量でもアラキドン酸、DHAが多くなっています。

(オメガ3とオメガ6系を分けると総量でも、長鎖になるほど不飽和結合が多くなるほどMDA(過酸化脂質)が増加しています)。

 

 

そして最後にMDA(過酸化脂質)の形成率です。

これは同じプーファ量あたりのMDA(過酸化脂質)発生率を調べたものです。

 

図7および8に示されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを見るとキレイに

プーファが

・長鎖になるほど

・不飽和結合が多くなるほど

MDA(過酸化脂質)発生率が高くなっています。

 

この実験から言えることは、液体(ミセル中)中では、プーファの中でも

 

・アラキドン酸が一番脂質過酸化反応(MDA発生)のスピードが速い。

・MDA(過酸化脂質)発生率でみるとやはり、DHA,EPAが最も高い

(長鎖になるほど、不飽和結合が多くなるほどMDA(過酸化脂質)発生率が高い)

 

ちなみにプーファの自動酸化で形成されるアルデヒド類(過酸化脂質)はMDAだけではありません。他にも種類がたくさんありますが、この実験ではMDAのみを計測しています。

 

測定する過酸化脂質の種類が違えば、また異なったデータとなるでしょう。

実際にオレイン酸とリノール酸のアルデヒド類(過酸化脂質)の量と種類を調べた研究があります(Asian Journal of Chemistry . 2012, Vol. 24 Issue 6, p2401-2406. 6p)。オレイン酸の方が、不飽和結合は少ないにも関わらず、アルデヒド類(過酸化脂質)の総量は多いという結果でしたが、アルデヒド類(過酸化脂質)の種類は両者で異なっています。

 

このように実験で何を測定するかによってデータは異なってきますが、重要なことは「プーファは、オメガ3であってもオメガ6であっても自動酸化してアルデヒド類(過酸化脂質)を出す事実には変わりがない」ことです。

 

水溶液中でオメガ3のDHAやEPAが自動酸化しないというのは、この研究からも厳格に否定されています。

 

このような実験系だけでなく、実際のプーファが生命場を歪ませるという研究も併せて観ないと致命的(他人に実害を及ぼす)な偏りがでます。

 

私たちのエネルギ―代謝のマスタ―ホルモンである甲状腺ホルモンの作用をブロックするプーファの作用は、

プーファが

・長鎖になるほど

・不飽和結合が多くなるほど

強くなります(Biochem Biophys Res Commun. 1991 Sep 16;179(2):1011-6)。

 

また拙著にも記載しましたが、

ビリルビンを無毒化する酵素をブロックするプーファも

DHA>EPA>アラキドン酸>リノレイン酸(亜麻仁油)>リノール酸(植物油脂)プーファが

・長鎖になるほど

・不飽和結合が多くなるほど

強くなります(Scientific Reports 3, Article number: 2903 (2013))。

 

いずれにしもオメガ6がオメガ3よりマシである、あるいはその逆だとかという(二重結合の数など)瑣末な議論ではなく、プーファはいずれも生理的条件(液体中のミセル状でも)で自動酸化されて、アルデヒド類(過酸化脂質)を発生させる事実を重く見ないといけません。

 

プーファ本ではプーファの危険性をアルデヒドに絞って書きましたが、まだまだプーファが生命場を歪ませる他の現象は多岐に渡ってあります(今後の出版に徐々に書いていきます)。アルデヒドのタンパク質、遺伝子変異作用だけではありません。

 

私は幸いにして臨床経験があるため、このような事実を、身を以て確かめることができましたが、研究論文だけを抽出して誤った情報を流すことは厳に慎まなければなりません。研究論文は自分の臨床経験の後付にしか過ぎません。

 

研究論文を本当に有機的に横につなげるには、サイエンスの基本をしっかりと学ばなければなりません。それに加えて、人間に蔓延る固定観念や固定概念をいつもサラにしておく必要があります。いつもオープンマインドでいることです(エゴが優っているときには、これができません)。

 

私は今回、自分のやってきたこと(オメガ3の投与)を深く反省し、なぜ病気の場を作ってしまったかを納得するためにも自戒の念もこめてこのシリーズ本を書いています。

 

どうしてもまだ反論したいのであれば、最低でも自分で毎日フィッシュオイルを摂取するくらいの人体実験はしなければなりません(私は5年間以上に渡って行いました)。数年後にどうなったかを是非報告して頂きたいものです。

関連記事

  1. 『福島の放射能汚染水は未解決』

  2. 『ビーガンミートが安全でない理由〜リアルサイエンスシリーズ』

  3. 『もっともシンプルで美しい自然の原理』

  4. 『ワクチンの真実:ファウチの論文〜リアルサイエンスシリーズ』

  5. 『放射線によるリーキーガットに有効な治療法とは?』

  6. 『免疫を活性化してはいけない(その1)〜オメガ3神話をやめると病は治る…

  7. 『遺伝子ワクチンとは何であったのか〜再検証シリーズ』

  8. ◆TUEET(エーテルエネルギー学会) ニュースレター ◆  『マダニ…