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『クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)の由来〜俯瞰シリーズ』

 

 

毎朝、起きると仕事に行くのが憂鬱になって貴重な朝の時間を無駄にしてしまう習慣になっていないでしょうか?

 

前回の「静かなる退職」現象と同じく、「ブルシット・ジョブ」が蔓延している真の原因について、分かりやすく解説している記事がありましたので、ご紹介いたします。

 

 

(転載開始)

なぜ「14時間労働」は実現しないのか…世界を覆う「クソどうでもいい仕事」という病

 

 

高収入で社会的承認を得ている人々の仕事が、実は穴を掘っては埋めるような無意味な仕事だった……? 彼らは自分が意味のない仕事をやっていることに気づき、苦しんでいるが、社会ではムダで無意味な仕事が増殖している——。

 

人類学者のデヴィッド・グレーバーが『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』で論じた「クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)」は、日本でも大きな反響を呼びました。

 

「ブルシット・ジョブ」とは何か? どのように「発見」されたのか? 『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』著者の酒井隆史さんが紹介します。

 

 

このようにまず想定してみましょう。

 

ひとつの世界があって、それをある人間が観察しています。

 

そこでは人はあくせく朝から晩まで仕事をしています。しかし、観察者の目には、その仕事のかなりの部分がなんの意味もなく、たとえば、必要のない穴を掘ってはひたすら埋めているとか、提出後すぐに保管されて二度とみられることのない書類をひたすら書いているとか、そんな「仕事のための仕事」にいそしんでおり、ほとんど仕事のふりをしているようにしかみえません。そのような仕事がなくても、この世界で生まれている富の水準は維持できるだろうに。

 

ところが、こうした仕事をやっている人は概して社会的な評価が高く、それなりの報酬をもらっています。それに対して、社会的に意味のある仕事をやっている人、おそらくかれらがいなければこの世界は回っていかないか、あるいは多数の人にとって生きがいのない世界になってしまうような仕事をやっている人たちは、低い報酬や劣悪な労働条件に苦しんでいます。しかもますます、かれらの労働条件は悪化しているようなのです。

 

 

 

観察者は、いったいどうしてこんなことになったのか、調べてみようとおもいます。

 

まず、いまのこの状況を100年前の視点からみるとどうなるか、検討しました。

 

すると、おおよそ100年前には、働く人たちは組合を組織して、賃上げよりも、労働時間を短縮すること、自由時間を獲得することに重きをおいていたことがみえてきました。そしてその根底には、労働から解放されたいという動機があることがわかりました。

 

そしていまでもとても尊敬されているその世代随一の経済学者も、100年後には、技術の向上やそれに由来する生産力の上昇によって、人は一日4時間、週3日働けばすむようになっていると予言しています。

 

100年前のこうした人たちの要求と予言をあわせるなら、そうなっていてもおかしくないのです。

 

ところが、この世界はそうなっていません。人は、ただひたすら穴を掘っては埋めることに時間をついやすことを選んだようにみえます。

 

観察者は、この世界のなかに入ってフィールドワークをはじめました。

 

すると、意外なことがわかります。じぶんたちの仕事が穴を掘って埋めているだけだ、とか、だれも読まない書類を書いているだけだ、と、仕事に就いているかなりの人が気づいていて、しかも、それに苦しんでいることです。

 

そしてそのような精神状況がうっすらとこの世界を覆い、職場だけではなく社会全体が殺気立っていること、険悪になっていることに気がつきます。

 

ブルシット・ジョブが存在する理由

この観察者は、その理由を考えます。

 

50年ぐらい前(1960年代)には、ほとんど働かないですむような世界を多くの人たちがもとめはじめた時代がありました。そして経済学者の予想した通り、客観的にも、可能性としては、その実現は遠いものではなくなっていました。

 

ところが、世界を支配している人々からすると、それが実現するということは、人々が、じぶんたちの手を逃れ、勝手気ままに世界をつくりはじめることにほかなりません。そうすると、じぶんたちは支配する力も富も失ってしまうことになります。

 

そこでかれらは、あの手この手を考えます。

 

そのなかのひとつが、人々のなかに長いあいだ根づいている仕事についての考え方を活用し、あたらしい装いで流布させることでした。

 

 

その考え方とは、仕事はそれだけで尊い、人間は放っておくとなるべく楽してたくさんのものをえようとするろくでもない気質をもっている、だから額に汗して仕事をすることによって人間は一人前の人間に仕立て上げられるのだ、と、こういったものです。

 

 

こういった考えを強化させつつ、二度と仕事から解放されようとか、自由に使える時間が増やそうとか、人生のほとんどの時間を生きるためにだれかに従属してすごさなくてすむとか、考えないよう、支配層にある人たちは、その富の増大分をほとんどわがものにし、仕事をつくってそれに人を縛ったうえでばらまくのです。

 

こうすると、なにかおかしいな、とおもっていても、でも仕事をするということはそれだけで大切だ、むなしかったり苦痛だったりするけれども、だからこそむしろ価値がある、というふうに、人は考えてしまいます。なにかこの世界はおかしいけれども、それがおかしいと考えることがおかしいんじゃないか、と多くの人が疑念を打ち消すことによって、この砂上楼閣のような世界はかろうじて成り立っているのです。

 

 

 

成り立っているといっても、そのなかは不満で充満しています。うすうすむなしいとおもいつつ仕事をしている人たちは、むなしくなさそうな人たちをことあるごとに攻撃しています。そうした人たちが、労働条件をもう少しよくしようとしてストライキでもしようものなら、容赦のない攻撃がくり広げられます。そして、技術的条件によって仕事がどんどん不要になっていくという社会の趨勢のなかで、多数の人たちが失業状態になっていきます。そうすると、かれらに対して、残りの人たちのほとんどすべてから「怠け者」とか「たかりや」といった罵声が浴びせられます。つまり、この砂上楼閣は緊張感がみなぎっていて、いわば、ごく一部を除いてだれも得をしないというか、みんながみんなを不幸にしあう悪意のぶつけあいによって、ぐらぐらと揺れているのです。

 

こうしてこの観察者は、その観察の結果を日本語の文字数にしておよそ6000字程度の小レポートとしてまとめ、ウェブに公開します。そのさい、この世界のかなりの人たちがみずからもうすうすそう感じながらやっている「どうでもいい仕事」に、「ブルシット・ジョブ」(BSJ)という言葉をつくってあてはめました。

 

無意味な仕事をする人々

この小レポートは、いまの世界には、まったく無意味で有害ですらある仕事、しかも当人すらそう感じている仕事がたくさんあって、かつそれが増殖しているという、常識外れの内容です。というのも、ふつう、市場原理をもってムダを省き、効率化や合理化をはかることがなによりも重視されていて、したがって容赦のない人員削減があちこちで起きているのが現代だ、というイメージがとても強いからです。いったい、そんなお話がどう受け取られるのか、まったく無視されてしまうのではないか、と報告者も半信半疑でした。

 

ところが意外なことに、すぐさま世界中からおどろくほどの反応があったのです。しかも、それらの反応の多くが、じぶんがなにをしているのか、なにに悩んでいるのか、怒っているのかわかった、という内容でした。

 

その反応をみたある世論調査代行会社(YouGov)が、仮説の検証を買ってでることになりました。その小レポートの文言をそのまま引用してイギリスでの世論調査を実施したのです。

 

すると、これもおどろくべき数字がでました。

 

「あなたの仕事は、世の中に意味のある貢献をしていますか?」という質問に対して、3分の1以上(37%)が、していないと回答したのです(しているという回答が50%、わからないと回答したのが13%)。報告者はこの半分ぐらいだろうと予想していたのですが、実際はその倍だったのです。それから、オランダにおける世論調査がつづきます。ここではもう少し高く、働く人の40%が、みずからの仕事にはたしかな意味がない、と回答したのです(『なぜ「1日4時間労働」は実現しないのか…世界を覆う「クソどうでもいい仕事」という病』現代ビジネス、2021.12.11)。

 

(転載終了)

 

 

ここにも書かれている通り、“彼ら”が人類全体を未熟な段階におしとどめています。

 

 

このような社会では、“三ダケ主義”だけでなく、人間は嫉妬、信念(感情だけ。無意識に洗脳されているだけです)や狭量の塊となって、互いの人間不信に陥っています。

 

 

“彼ら”のメッセンジャーの一人であるトマス・ホッブズ(Thomas Hobbes)は、『リヴァイアサン』(Leviathan、1651年出版)において、人間の自然状態(自然状態とは、政府や法律が存在しない状態)を「万人の万人に対する闘争」状態として描写しました。

 

 

ホッブズは人間を「自己中心的で、他者に対して不信感を抱き、暴力的な存在」として描写したのです。

 

 

 

ここから、ホッブズは人間の無秩序な自然状態を脱するために、権力者または統治者(ワン・ワールドです(^_−)−☆)に権力を委なければならないと“誘導”します。

 

 

 

 

実際は、ホッブスの人間の本質に関する仮定(互いに不信で暴力的)が間違っているので、この結論も間違いです(ホッブスが描写した人間不信は、“彼ら”のベースにある“信念”に過ぎません)。

 

 

 

その誤謬を覆い隠すために、“彼ら”は私たちを「万人の万人に対する闘争」状態におしとどめておく必要があります。

 

 

その状態こそが、「静かなる退職」や「ブルシット・ジョブ」が蔓延する現代社会のシステムです。

 

 

現代の社会システムは、歴然とした彼らの“寡頭制”であり、一般の私たち(有色人種はなおさら)が現在の社会・経済苦境から努力などによって自力で這い上がれるチャンスなど皆無のシステムです。

 

 

 

たとえ、個人の才覚で這い上がって行っても、そこには“彼ら”の手足である国税や銀行・投資筋が待ち構えていて、いつでも足元をすくうことができます(もちろん、会社組織だけでなく個人をターゲットにしたブラックメールもあります)。

 

 

 

そのような希望のかけらもない社会は泥沼化し、個々人が人間不信に陥って、他者を攻撃したり、自分を過度に責めて閉じこもったりするといった不健全な生命場になっていきます。

 

 

これがホッブスが喧伝した世界です。

 

 

この現代社会の“根っこ”に気づけば、SNS で保身のために他人を中傷したり、自分を大きく見せたりする必要など皆無になります。

 

 

 

大衆同士でいがみ合っている場合ではありません。

 

 

 

 

 

また、生産性のない仕事などなくなっていくでしょう。

 

 

人間は自然の一部です。その自然がどのように存在しているのかを個人の“信念(支配者に吹き込まれたものです)”ではなく、虚心坦懐に観察していくことから始めましょう。

 

 

 

そうすれば、現代社会の根底にある「万人の万人に対する闘争」という“彼ら”が私たちに吹き込んだ思想が覆されていきます(^_−)−☆。

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