「運動すればするほど健康になる」は大きな誤解だった
糖尿病や肥満対策に「有酸素運動をたくさんしましょう!」
──そう信じて、毎日長時間のウォーキングやランニングを続けていませんか?
ジムでは「カーディオ(Cardio)が脂肪燃焼に最適!」と盛んに宣伝されています。
しかし、最新の研究はこの“常識”を根本から覆しつつあります。
過剰な有酸素運動がミトコンドリアを破壊する
2021年の研究で明らかになった衝撃の事実。
健康なボランティアに対して、4週間かけて運動負荷を増やしていく介入を行った結果、高強度トレーニングを行った直後にミトコンドリア機能が大幅に低下してしまったのです。
これにより、
• 血糖耐性の悪化
• インスリン分泌の障害
が引き起こされました。
さらに、世界トップレベルの持久系アスリートでも、
血糖コントロールが一般人より悪いという驚くべき事実も示されました。
つまり、長期間にわたる過度の運動は、慢性的な代謝異常を招く可能性があるのです。
「脂肪燃焼モード」が健康をむしろ悪化させる
2023年の研究でも、持久系アスリートが3時間連続運動(VO2maxの65%強度)を行った翌日に、
• 血糖耐性の低下
• インスリン抵抗性の増加
が確認されました。
このとき体内では燃料を「糖質→脂肪」へのメタボリックスイッチが起こります。
そして脂肪を燃やす際、体内に蓄積しているプーファ(PUFA:酸化しやすい脂肪酸)が血中に放出され、
結果としてインスリン抵抗性や高血糖を引き起こすのです。
週5回以上の有酸素運動は危険?
2024年の最新メタアナリシスでは、
週5〜7回の有酸素運動を行った場合、週2〜4回の運動と比較して
2型糖尿病患者の血糖コントロール効果が小さくなることが報告されました。
過度な運動はストレスホルモン(コルチゾール)を増やし、筋肉と脂肪を溶かして糖に変換し、血糖値を上昇させてしまうのです。
痩せたいなら「糖質制限+有酸素運動」も大間違い!
さらに、痩せるために「糖質制限+有酸素運動」という組み合わせも、危険極まりない方法です。
実は、長時間の運動中にしっかり糖質を補給するほうが、
• 血糖値の安定
• ミトコンドリアの保護
につながることが、研究でわかっています。
糖質を補給しないと、脂肪が分解され、プーファが血液中に溢れ、かつ脂肪燃焼モードに入るため、長期的に基礎代謝が低下していくためです。
【結論】
▶︎ 長時間・高頻度の有酸素運動は健康を損なうリスクがある!
▶︎ 運動中は適切な糖質補給を!
▶︎ 糖質制限と有酸素運動の組み合わせは絶対に避けるべき!
参考文献
• Excessive exercise training causes mitochondrial functional impairment and decreases glucose tolerance in healthy volunteers. Cell Metab. 2021 May 4;33(5):957-970.e6.
• Reduced glucose tolerance and insulin sensitivity after prolonged exercise in endurance athletes. Acta Physiol (Oxf). 2023 Aug;238(4):e13972.
• The effects of aerobic exercise on 24-hour mean blood glucose levels in type 2 diabetes: a meta-analysis. Front Physiol. 2024 Dec 23:15:1496271.
• Carbohydrate Loading and High Carbohydrate Intake During Prolonged Exercise in Diabetes Type 1. Front Endocrinol (Lausanne). 2019 Aug 21:10:571.