Book

『枕を高くして寝る?:殿様枕症候群〜リアルサイエンスシリーズ』

 

 

ホテルなどで慣れない枕だと眠れないということを経験したことがないでしょうか?

 

 

私は、枕によっては首を痛めたり、めまいや吐き気を催したりすることもあります。

 

 

 

日本では、「枕を高くして寝る」という言葉があり、安心して眠れるという意味で使用されています。

 

 

 

17世紀から19世紀にかけて、「将軍枕」と呼ばれる高さ12〜16 cmの高枕が、伝統的な手の込んだ髪型を維持するために将軍、侍(武士)、および芸者の間で広く使用されていました。

 

 

この高枕は、実際に安眠できるものなのでしょうか?

 

 

 

最新の研究で、高い枕の使用が「椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり、sVAD)」のリスク増加と関連している可能性が示されました(High pillow and spontaneous vertebral artery dissection: A case-control study implicating “Shogun pillow syndrome”. Eur Stroke J. 2024 Jun; 9(2): 501–509.)。

 

 

椎骨動脈とは、私たちの首の後ろ側を通っている動脈で、生命中枢(呼吸や循環器のセンターがある)を司る脳幹部を栄養しています。

 

 

 

「椎骨動脈解離」とは、この動脈の壁がビリビリと剥がれて、血管を塞いでしまう状態を言います。

 

 

こうなると、突然の頭痛、首の痛みとともに、めまい、吐き気、言葉が出ない(失語)や手足の麻痺など多彩な症状が出現します。

 

 

 

「椎骨動脈解離」は、カイロプラクテックやヨガなどで不自然な首の動きをしたときにも起こります。

 

 

 

特に、首を屈曲して、左右に回転したときに、椎骨動脈に過剰な負荷がかかって、ビリビリと動脈の壁が剥がれやすいことが分かっています。

 

 

弓を引くときに首の動きと同じことから、「ボウハンター症候群(Bows Hunter症候群)」とも呼ばれています。

 

 

咳やくしゃみなどでも発生することがあります。

 

 

 

高枕だと、首が屈曲します。

 

 

私たちは、一晩に無意識に約24回睡眠姿勢を変えるといいますから、高枕だと無意識に首を屈曲したまま、左右に回旋していることになります。

 

 

 

リラックスして映画を観るときにも、厚いクッションに頭を置くと、次第に吐き気がして気分が悪くなってきます。

 

 

 

これも、首が過剰に屈曲し、無意識に左右に動いていることで、頭部・頚部の血管が狭くなり、血流が悪くなるからです。

 

 

 

私もこの事実を知ってから、枕の形状にこだわってきましたが、現在では「枕なし」が最も快適であることが分かりました。

 

 

 

睡眠中には寝返りを何度もうつので、枕がない方がスムーズです。

 

 

 

実際に枕をしなくなってから、起床時の首の痛みや頭痛がなくなりました。

 

 

 

昔は、寝首をかかれることもあったため、髪型を維持して寝られることは、安眠のしるしだったのでしょう。

 

 

もはや寝首をかかれる可能性が低く、髷結(まげゆわい)をしない現代では、「枕を高くして寝る」必要はなくなりましたね(^_−)−☆。

関連記事

  1. 『PCRに変わってAIが新型コロナを診断する』

  2. 『強制ワクチン接種の時代へ』

  3. 『若者の加齢現象』

  4. 『長寿の秘訣〜「緑のものを食べない」米国女優の逸話〜再検証シリーズ』

  5. 『イギリスからのお便り』

  6. 『高齢者への新型コロナ遺伝子ワクチンの結果は?』

  7. 『PCR検査のもう一つの落とし穴』

  8. 『高プーファ食で高血圧になる!』