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『砂糖入りのジュースの正体〜〜リアルサイエンスシリーズ』

 

近年になってようやく基礎医学研究の分野でも、政府の行き過ぎた、かつエビデンスの乏しい糖質制限政策に疑問を投げかける研究が報告されるようになっています。

 

 

2023年8月に報告された研究では、砂糖を固形物に足しても、肥満、糖尿病や総死亡率とは無関係であることが示されています(Sugar guidelines should be evidence-based and contain simple and easily actionable messages. Front Nutr. 2023; 10: 1227377)。

この報告では、砂糖入りのジュース(加糖ジュース、sugar-sweetened beverages (SSBs))だけが問題であるとしています。

 

つまり、料理やお菓子に砂糖を好きなだけ足しても、何の問題も起こらない(むしろ甲状腺機能をアップ!)が、砂糖入りのジュースをガブガブ飲むのは良くないと記しています。

 

 

したがって、現在の政府の「砂糖は用途に関わらず、制限すべき」というエビデンスの乏しいガイドラインを見直すべきであると提言しています。

 

 

ところが、ここにも落とし穴があります。

 

 

みなさんコンビニやスーパーに陳列しているソフトドリンクの成分表示をよく見てみましょう。

 

 

甘味料として砂糖(ショ糖)を使用しているものは、ほとんどありません。現在では、甘味料として使用されているのは、果糖ブドウ糖液糖(異性化糖、HFCS)やアスパルテームなどの人工甘味料です。

 

 

本来は、砂糖よりも、合成に複雑な化学反応を要する果糖ブドウ糖液糖(HFCS)の方がコスト高になるはずです。しかし、国民の税金を投入して、補助金という形で遺伝子組み換えコーンから果糖ブドウ糖液糖(HFCS)を作るため、市場には安く提供できる仕組みになっています。

 

そのコストの低さのため、大量生産のソフトドリンクに砂糖を排除して果糖ブドウ糖液糖(HFCS)あるいは人工甘味料を入れているのです。

 

つまり、砂糖入りのソフトドリンクと喧伝しているのは、実際は、ほとんどは果糖ブドウ糖液糖(HFCS)が入っているソフトドリンクの悪影響を見ているものに過ぎません。

 

 

果糖ブドウ糖液糖(HFCS)は、がんの増大、肥満、脂肪肝、高脂血症などのメタボリック・シンドロームや骨粗しょう症、記憶・認知障害、行動異常(躁うつ病など)を引き起こすことがすでに報告されている物質です(High-fructose corn syrup causes characteristics of obesity in rats: increased body weight, body fat and triglyceride levels. Pharmacol Biochem Behav. 2010 Nov;97(1):101-6)(High Fructose Corn Syrup-Moderate Fat Diet Potentiates Anxio-Depressive Behavior and Alters Ventral Striatal Neuronal Signaling. Front Neurosci. 2021; 15: 669410)(High-fructose corn syrup enhances intestinal tumor growth in mice. Science. 2019 Mar 22;363(6433):1345-1349)。

 


それでは、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)入りのドリンクと本物(100%)のフルーツジュースで違いが出るのでしょうか?

 

本当のフルーツ・ジュース(pure fruit juice、100% 搾りたて)と果糖ブドウ糖液糖(HFCS)添加ジュースを比較した臨床研究をご紹介しましょう。

 

果糖ブドウ糖液糖(HFCS)添加ジュースを本当のフルーツ・ジュース(pure fruit juice)に変更すると、糖尿病、心臓血管疾患のリスクの低下と関連していました(Substitution of pure fruit juice for fruit and sugar-sweetened beverages and cardiometabolic risk in European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC)-NL: a prospective cohort study. Public Health Nutr. 2022 Jun;25(6):1504-1514)。

なお、フルーツ・ジュース(pure fruit juice)をフルーツに変更しても、有意な変化は起こりませんでした(固形のフルーツと液体のフルーツジュースは同じ)。

 

またグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)との比較試験でも、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)は最も高脂血症や脂肪肝(NASH)を引き起こすことが分かっています(High-fructose corn syrup-55 consumption alters hepatic lipid metabolism and promotes triglyceride accumulation. J Nutr Biochem. 2017 Jan;39:32-39)。

砂糖を添加した固形物だけでなく、本物のフルーツジュースや砂糖を添加したドリンクでは、健康被害が起こりません。

 

砂糖や果糖を添加したドリンクで問題を引き起こしたという動物実験は、実際は、日常で摂取することのできない過量投与実験であることを今までの拙著『自然治癒はハチミツから』などや次作のハチミツ本でも詳しくエビデンスを紹介しています。

 

砂糖入りのドリンクで問題を引き起こすと言っているのは、実際は果糖ブドウ糖液糖(HFCS)入りのジュースです。

飲み物であっても、食べ物であっても砂糖やハチミツなどの自然の甘味料を加えるのは、味覚が豊かになるだけでなく、健康増進効果をもたらします。

 

 

現代人は、飲料や食べ物に砂糖を添加したものを「甘すぎる」と感じてしまうほど、あまりにも糖質制限に洗脳されて、味覚さえおかしくなってしまっています。

 

それでも、徐々に洗脳が解けて、砂糖を摂取し出すと、砂糖を加えた食べ物の風味を欲するようになります。 なぜなら、それがヒトの本能だからです(^_−)−☆。

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