『砂糖は命を救う〜リアルサイエンスシリーズ』

 

 

みなさんは、一般健康ポップカルチャーや現代医学・栄養学などが監修している記事で、「ヘルシーは食べ物」と「体に悪い食べ物」というような恣意的な分類をしているものをよく見かけないでしょうか?

 

 

ヘルシーな食べ物としてそれらが挙げるものは、オーガニックの野菜や糖質の少ない穀物(キノア(quinoa))のようなものがその代表です。

 

一方、体に悪い食べ物は、砂糖、飽和脂肪酸(バターなど)がその代表とされています。

 

 

 

 

 

さて、現在、ガザ地区のパレスチナの人々は、ライフラインを断たれて、絶体絶命の状態です。

 

慢性的な栄養不良で、体が弱っているこれらの人々に何を与えたら少しは回復するでしょうか?

 

 

現代の健康ポップカルチャーが勧めるヘルシーとされる野菜ジュースや青汁(あるいはケールなどの葉類そのもの)を2時間毎に摂取と回復するでしょうか?

 

それとも、健康に悪いとされる砂糖入りのソーダ(炭酸)を2時間毎に飲む方が良いでしょうか?

 

 

このいずれが命を救えるのでしょうか?

 

 

慢性的な栄養不良やそれに伴う下痢・脱水による死亡は、5歳以下の子供の死亡原因の約半分を占めています(Malnutrition as an underlying cause of childhood deaths associated with infectious diseases in developing countries. Bulletin of the World Health Organization. 2000;78:1707-1221)。

 

 

ちなみに、栄養不良地域での下痢の大半は、食中毒によるものです。この食中毒の最大の原因は、葉っぱ類の野菜を食べることによるものです(Attribution of Foodborne Illnesses, Hospitalizations, and Deaths to Food Commodities by using Outbreak Data, United States, 1998–2008. Emerg Infect Dis. 2013 Mar; 19(3): 407–415)。

 

 

栄養不良および脱水の治療の基本について、2017年の『サイエンス』誌に掲載された内容は、

 

「1Lの水、一握りの砂糖、ティースプーン半量の塩」です(A simple recipe for saving lives. Science. 2017;355:57)。

 

 

これらの栄養不良の状態では、低血糖、低体温および脱水になっています。

 

 

 

これらを一挙に解決する方法は、砂糖水(あるいはブドウ糖の点滴)を2時間毎に投与することが基本治療です(Ten steps to recovery . Child Health Dialogue. 1996:(3-4):10-2)。

 

 

 

 

青汁などの葉っぱ類の野菜(プーファ、エストロゲンや抗栄養素を含む)は、細胞の糖の利用をブロックします。

 

 

抗栄養素とは、ミネラルなどの体内の必須物質の吸収をブロックする物質です。

 

 

私たちの細胞は、糖を燃料としてエネルギーと熱を産生します。

 

 

 

したがって、青汁やオーガニック野菜や糖質の少ない穀物などを栄養不良状態で摂取すると、エネルギー不足、体温がさらに低下します。

 

さらに、血液中の糖が不足すると、自分の体を食い潰して血糖値をあげようとします。

 

 

 

前回お伝えしたように、脳や赤血球(全身に酸素を運ぶ)は事実上、糖しかエネルギー源にできないからです。

 

 

しかし、元々栄養不良にあるので、食い潰すべき自分の体内の脂肪や筋肉がほとんどなくなっている状態です。

 

 

糖に変換できるだけの脂肪や筋肉のタンパク質の量がありません。

 

 

 

したがって、この状況での青汁投与は、さらに血糖値も低下していくため死亡するのです。

 

 

本来ヘルシーな食べ物、健康に良い食べ物とは、栄養不良や脱水のような生命の危機的な状況でこそ、その力を発揮する栄養素です。

 

 

その危機的状況で命を救う砂糖や塩を悪玉化し、命を奪う葉類などの野菜をヘルシーとして持ち上げる現代の「健康常識」なるものは、単なる感情・情動あるいは宗教の類であり、ファクト、エビデンスあるいは叡智と何の関係もありません (^_−)−☆。

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