『昆虫食を甘く見ないこと〜俯瞰シリーズ』

 

 

生きているナメクジを食べて首から下の麻痺および昏睡状態に陥り、8年後に死亡したオーストラリアの若者の話が2018年に掲載されています(『Man Dies 8 Years After Swallowing a Live Slug That Left Him Paralyzed』 Live Science, November 06, 2018)。

 

 

これは、ナメクジに寄生している広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis, rat lungworm)が脳組織へ侵入したことが原因です(Estimating Human Exposure to Rat Lungworm (Angiostrongylus cantonensis) on Hawai’i Island: A Pilot Study. Am J Trop Med Hyg. 2020 Jan; 102(1): 69–77)。

 

 

 

 

さて、♨️カバールの忠実な僕であるデジタル大臣なる人物が、コオロギの粉末の食事試食のデモンストレーションをして話題になった昆虫食。

 

 

 

実際に徳島の高校で、コオロギの粉末を使ったコロッケなどが試食が提供されたことで、保護者からクレームが殺到しているようです。

 

 

 

昆虫食の危険性は、パレオ協会ニュースレターで詳述しましたが、ネット記事に優れたものがありましたので、今回はその記事をご紹介いたします。何が優れているかというと、きちんとエビデンスを紹介していることです(内容に100%賛同している訳ではありません)。

 

 

私が最初に日本の文章に徹底して文末にエビデンスをつけることを始めましたが、ようやく日本でもその重要性に気づく人が出てきたようで、嬉しいばかりです。

 

 

なぜこのことが大切かというと、日本のほとんどの書物や記事は、他人の文章の剽窃(ひょうせつ、泥棒)だからです。どこまでが自分の意見でどこまでがエビデンスかを明確しない文章は読むに値しません。

 

 

それでは、少し長いですが、早速転載いたします(『「コオロギ食」への嫌悪感は「ネオフォビア(新奇性恐怖)」なのか』 石田雅彦、3/1(水))。

 

(掲載開始)

政府のデジタル大臣が試食し、それがネット上で問題視されるなど、最近になって物議をかもしているコオロギ食だが、コオロギを食べることに心理的な抵抗がある人が多いことも背景にありそうだ。新奇なものに恐怖を感じることをネオフォビア(Neophobia、新奇性恐怖)というが、日本人にとってのコオロギ食はネオフォビアなのだろうか。

 

まだ国際的な規範もない昆虫食

主にアジア、アフリカ、南アフリカといった地域で人類は長く昆虫を食べてきた。この昆虫食や昆虫の飼料化が世界的に注目を集めているのは、2013年に国連の食料産業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations、FAO)が食糧危機の解決策として昆虫食を推奨したことに始まる。

 

その後、日本をはじめ各国は、食糧危機解決策の一つとして昆虫食の推進を始めるようになっていった。また、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みにも関係し、食用や飼料のために養殖する場合のコスト(餌代、水、エネルギー代など)が食肉や農産物より有利とされ、環境負荷の低さやSDGsの観点からこれらに関心の高い欧米を中心に注目されているというわけだ(※1)。

 

また、新型コロナのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻で、世界的に食糧安全保障が脅かされた。前述したようにFAOが食糧危機の解決策として昆虫食を推奨したことにも関係し、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、食肉に匹敵する栄養素を持つ昆虫を食料にすることが食糧危機を乗り切るための一つの手段と考えられるようにもなっている(※2)。

 

だが、衛生面などの安全面から、自然界の昆虫を捕らえて摂取する昆虫食と人為的にコントロールされている養殖の昆虫を食べることは違う。また、他国から輸入された昆虫についても、まだ国際的な規範がないため、安全性は担保されていないのが現状だ(※3)。さらに、内部寄生虫やアレルギー反応などについても、コオロギを含む昆虫は未知の部分が多い食品となっている(※4)。

 

男性のほうが受容的な昆虫食

昆虫は、食品衛生とのネガティブなつながりも強い。加工食品に昆虫が混入するような事故の事例から、多くの人が昆虫と聞くと、不衛生を連想したり感染症や食中毒を引き起こす病原性の微生物が付着しているのではないかと印象を受けたりする(※5)。

 

この記事ではコオロギ食の安全性やアレルギーなどについては述べないが、他の昆虫(バッタ類など)に比べてコオロギには有害な微生物や熱処理に強い細菌(芽胞形成菌)が多く、養殖条件によってカドミウムなどの重金属が蓄積しやすい、といった危険性があることを指摘しておく(※6)。

 

ここでは、コオロギ食に対する心理的な抵抗感や嫌悪感について、最近の日本のように各国でも同様の課題が取り沙汰され、心理面からアプローチする研究も多く、こうした側面から昆虫食、特にコオロギ食について考えてみたい。

 

その国民や民族、地域社会に暮らす人々が持つ固有の食文化や食習慣に対する執着心は根強く、一般的に保守的だ。なじみの薄い食べ物を食べないという行動は、寄生虫の感染を回避したり食中毒にならないようにするなど生存のための危険回避手段であり、生物に共通して備わった適応反応になっている。

 

これまでの研究から昆虫食に対して、女性より男性のほうが受容度が高く、男性のほうが姿形のわかる加工されていない昆虫に対する嫌悪感が低かった(※7)。また、特にネオフォビア(新奇性恐怖)、なじみの薄い食べ物への忌避感が、昆虫食への抵抗に強く影響することがわかっている(※8)。

 

高い栄養価や環境負荷の低さなどの利点が多くあっても多くの人は昆虫食をなかなか受け入れないが、研究の多くは欧米のもので無脊椎動物を食べる習慣が少ない国民や民族を対象にしたものだ(※9)。また、欧米の嗜好の研究対象は、主にこれまで昆虫を食べたことのない人の感性を調べていることが多く、また、昆虫食への関心の度合いはどれくらいか、どうしたら昆虫食を消費者に受け入れてもらえるのか、といった疑問からなされている(※10)。

 

そのため、欧米人を対象にした昆虫食への心理的な抵抗や嫌悪感は、かなり強いという結果になっている。とはいえ、一般の食料品店などに並ぶようになったことで、欧米でも徐々に昆虫食が受け入れられつつある(※11)。

 

また、同じ欧米でも国によって受容度、嫌悪度はバラバラなようだ。ノルウェーとポルトガルの両国の参加者について調べた研究によれば、総じて栄養価の合理性や食品ロスを含む環境負荷の要因は好悪への影響が低く、新しい食材への好奇心の強弱によって好悪する傾向があり、ノルウェーのほうが昆虫食に対して受容的だった(※12)。

 

なじみの薄いコオロギ食へのネオフォビア

では、西洋人以外ではどうだろうか。昆虫食に対する心理的な抵抗感を、ドイツ人と中国人とで比較した研究によれば、中国人はドイツ人に比べて昆虫食を好意的に評価し、ドイツ人が加工されている昆虫食を好むのに比べ、中国人は未加工も加工もどちらも好みに違いがなかった(※13)。

 

すでに日本人の食生活は欧米化しているが、広い国土を持ち、生活環境が不均一な中国は、今まさに食生活が欧米化へ移行しつつある過渡期だ。中国全土の395人(女性224人、各世代、平均年齢30.2歳)を対象にした調査によれば、昆虫食を食べたことのある人とない人で異なり、中国人でも食べたことのない人は昆虫食に対して嫌悪感を抱く傾向があることがわかった(※14)。

 

では、話題になっているコオロギ食はどうなのだろうか。

 

米国のミシガン大学の研究者によれば、コオロギは他の昆虫より粉末にしやすいなどの加工性で優れている一方、コオロギ食にした場合、ネオフォビア(新奇性恐怖)の対象になりやすいという(※15)。そのため、コオロギ食を忌避するタイプの人に対しては、原型を連想させないように粉末にし、クッキーなどのなじみ深い食品に混ぜて提供することが効果的としている。

 

昆虫食といっても多種多様なものがあるが、コオロギは世界的にも食材として注目を集めつつあるようだ。量販店などではコオロギの粉末を練り込んだ煎餅が販売されるなどしているが、一部の研究機関や業界団体がコンソーシアムを作って製造販売のガイドラインを策定しているものの、衛生面やアレルギー、輸入品などの安全性に関する明確な法規制はまだない。

 

日本人にとっての昆虫食は、イナゴの佃煮や蜂の子などがあり、それほどなじみの薄い食材ではないが、若い世代でそのことを知っている人は多くなさそうだ。また、コオロギはその色や形が、バッタよりも我々が忌み嫌っているゴキブリのほうにより似ている、ということもあるだろう(※16)。

 

肉食への贖罪意識やSDGsなど環境影響への懸念が強い欧米では、次第に昆虫食が市場に浸透し、昆虫が新奇性のある食材ではなくなりつつあり、それとともに受け入れられている(※11、※17)。

 

ネットなどでのコオロギを食べることについての日本人の拒否反応や嫌悪感は、一種のネオフォビア(新奇性恐怖)といえ、これは昆虫食になじみの薄い欧米人と同じ反応といえる。日本でもコオロギ食が一般的になれば、ネオフォビア(新奇性恐怖)を感じる人も少なくなっていくはずだ。

 

だが、コオロギとゴキブリの連想一致がその嫌悪感に強く影響しているとすれば、それはネオフォビア(新奇性恐怖)ではない。もっと根源的な情動反応であり、だとすればコオロギ食が一般的に広く受け入れられることはないだろう。

 

コオロギ食だけに特化した研究は少ない。もしコオロギ食を普及させたいのなら、こうした消費者の心理についてよく調べる必要がありそうだ。

 

※1-1:Shikha Ojiha, et al., “Food waste valorisation and circular economy concepts in insect production and processing” Waste Management, Vol.118, 600-609, December, 2020

 

※1-2:Roberta Moruzzo, et al., “Edible Insects and Sustainable Development Goals” insects, Vol.12(6), 557, 15, June, 2021

 

※1-3:Roberto Ordonez-Araque, Erika Egas-Montenegro, “Edible insecdts: A food alternative for the sustainable development o f the planet” International Journal of Gastronomy and Food Science, Vol.23, April, 2021

 

※2:Jessika Goncalves dos Santos Aguilar, “An overview of lipids form insects” Biocatalysis and Agricultural Biotechnology, Vol.33, May, 2021

 

※3:A. Lahteenmaki-Uutela, et al., “Regulations on insects as food and feed: a global comparison” Journal of Insects as food and Feed, Vol.7(5), 849-856, 19, April, 2021

 

※4-1:Samuel Imathiu, “Benefits and food safety concerns associated with comsumption of edible insects” NFS Journal, Vol.18, 1-11, March, 2020

 

※4-2:Antonietta Baiano, “Edible insects: An overview on nutritional characteristics, safety, farming, production technologies, regulatory framework, and socio-economic and ethical implications” Trends in Food Science & Technology, Vol.100, 35-50, June, 2020

 

※5-1:Tae-Kyung Kim, et al., “Edible Insects as a Protein Source: A Review of Public Perception, Processing Technology, and Research Trends” Food Science of Animal Resources, Vol.39(4), 521-540, August, 2019

 

※5-2:Patrik Lammers, et al., “Acceptance of insects as food in Germany: Is it about sensation seeking, sustainability consciousness, or food disgust?” Food Quality and Preference, Vol.77, 77-88, October, 2019

 

※6:X. Fernandez-Cassi, et al., “The house cricket (Acheta domesticus) as a novel food: a risk profile” Journal of Insects as Food and Feed, Vol.5(2), 137-157, 2019

 

※7:Patrik Lammers, et al., “Acceptance of insects as food in Germany: Is it about sensation seeking, sustainability consciousness, or food disgust?” Food Quality and Preference, Vol.77, 77-88, October, 2019

 

※8-1:Christina Hartmann, Michael Siegrist, “Developemnt and validation of the Food Disgust Scale” Food Quality and Preference, Vol.63, 38-50, January, 2018

 

※8-2:Giovanni Sogari, et al., “The food neophobia scale and young adults’ intention to eat insect products” International Journal of Consumer Studies, Vol.43, Issue1, 68-76, January, 2019

 

※8-3:Tieneke Kroger, et al., “Acceptance of Insect-Based Food Products in Western Societies: A Systematic Review” Frontiers in Nutrition, Vol.8, doi.org/10.3389/fnut.2021.759885, 21, February, 2022

 

※9-1:Heather Looy, et al., “How then shall we eat? Insect-eating attitudes and sustainable foodways” Agriculture and Human Values, Vol.31, 131-141, 2, June, 2013

 

※9-2:H. Dagavos, “A literature review of consumer research on edible insects: recent evidence and new vistas from 2019 studies” Journal of Insects as Food and Feed, Vol.7(3), 249-259, 27, November, 2020

 

※10:Maryia Mishyna, et al., “Sensory attributes of edible insects and insect-based foods – Future outlooks for enhancing consumer appeal” Trends in Food Science & Technology, Vol.95, 141-148, January, 2020

 

※11:Simone Mancini, et al., “Factors Predicting the Intention of Eating an Insect-Based Product” foods, Vol.8(7), 270, 19, July, 2019

 

※12:Jose Carlos Riveiro, et al., “Insects as food and feed in Portugal and Norway – Cross-cultural comparison of determinants of acceptance” Food Quality and Preference, Vol.10, December, 2022

 

※13:Ghristina Hartmann, et al., “The psychology of eating insects: A cross-cultural comparison between Germany and China” Food Quality and Preference, Vol.44, 148-156, September, 2015

 

※14:Fabio Verneau, et al., “Cross-validation of the entomophagy attitude questionnaire (EAQ): A study in China on eaters and non-eaters” Food Quality and Preference, Vol.87, January, 2021

 

※15:Rachael Lacey, “Crickets as Food: The perceptions of and barriers to entomophagy and the potential for widespread incorporation of cricket flour in American diets” Program in the Environment, University of Michigan, April, 2016

 

※16:M B. Ruby, et al., “Determinants of willingness to eat insects in the USA and India” Journal of Insects as Food and Feed, Vol.1(3), 215-225, 2015

 

※17:Karin ME. Wendin, Maria E. Nyberg, “Foctors influencing sonsumer perception and acceptability of insect-based foods” Current Opinion in Food Science, Vol.40, 67-71, August, 2021

 

(転載終了)

 

いかがだったでしょうか?

 

 

昆虫食全般の危険性、そしてこの記事の中にあるように、コオロギにおけるバクテリアや重金属汚染の存在や規範がない(当局の安全基準、規制がない)ことが重要であり、賛否の議論の余地などありません。

 

 

したがって、「ネオフォビア(新奇性恐怖)」という病名のようなものを意図的に使用してはいけません。

 

 

♨️カバールも焦って事を急ぐと、かえって眠りこけている大衆の反発を受けるでしょう。

 

 

なぜなら、昆虫食を続けると必ず体調不良となるからです(^_−)−☆。

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