現代医学の検査は、体にダメージを及ぼすものが大半を占めます。
その中でも、肛門から逆行性(便の排出とは逆方向)に内視鏡を入れるという「大腸内視鏡(colonoscopy)」があります。
「米国予防医学専門委員会(U.S. Preventive Services Task Force, USPSTF)」なる団体の大腸がんスクリーニング検査の推奨が世界的にも採用されています。
これは米国医師試験でも必ず暗記させられる事項ですが、大腸がんリスクのない人でも、50歳以上になれば、10年毎に大腸がんのスクリーニング検査として大腸内視鏡が推奨されています。
ところが、最新の臨床研究で、大腸がん予防としての大腸内視鏡検査を行なったグループは、無検査のグループと比較して有意に大腸がんによる死亡リスクの低下効果がなかったことが改めて明確に示されました(Effect of Colonoscopy Screening on Risks of Colorectal Cancer and Related Death. N Engl J Med 2022; 387:1547-1556)。
この論文では、大腸内視鏡検査では統計学的に有意に大腸がんによる死亡リスクの低下が認められなかったにもかかわらず、結論はリスク低下が認められたとしています(もちろん、論文掲載されるための方便です(^_−)−☆)。
私も医療現場でよく遭遇した大腸内視鏡の合併症が、大腸に穴を開けてしまうこと(perforation)です。
肛門から内視鏡という固い異物を入れるので、当たり前といえば当然の合併症です。
腸に穴があくと、腸内のバクテリアや排泄物が腹腔内に漏れ出ることで、命に関わる腹膜炎が起こります。緊急開腹手術の対象となります。
その他、腸の粘膜や神経にダメージを及ぼすことで、出血、便失禁なども起こります。
そもそも肛門から便の排出とは逆方向に何か異物を入れること自体が不自然です。
さらに、この論文では、大腸内視鏡検査全体の25%は、不必要に施行されていることも指摘しています。
大腸内視鏡によるスクリーニング検査(人間ドック)は、大腸がんによる死亡リスクの低下効果がないばかりか、致死的な合併症を引き起こすものということです。
権力者の僕である現代医学の大半の検査は、このように無益というだけでなく、有害であることを再確認しておきましょう。