この時期にとてもタイムリーな疫学的調査が報告されました。
それは、何かと副作用で問題を引き起こしてきた子宮頚がんワクチンの調査報告です。
日本の医師向けのニュースにも
〔詳報〕HPVワクチンの決定的エビデンス
『HPVワクチンで子宮頸がんリスク大幅低下、初めて集団レベルで確認』
(Medical Tribune誌 2020年10月12日)とトップを飾っています。
日本のフェイクニュースCNNやBBCと揶揄されているNHK(電通が運営)が大きく取り上げていたこともあって、日本の皆さんもご存知かも知れません。
早速、論文を取り寄せて、じっくりと読まして頂きました☺️。
スウェーデンで2006~17年に10~30歳であった女性167万2,983例を対象とし、対象が子宮頚がん発症、死亡、他国への移住、31歳到達などの条件を満たすまで子宮頚がん発症の有無を追跡しています(N Engl J Med. 2020 Oct 1;383(14):1340-1348)。
年齢、居住地域に加え、教育、世帯年収、母親の出身国、疾患歴といった親の背景因子などを調整して、子宮頚がんワクチン(HPV)接種の有無別に子宮頚がん発症リスクを比較しています。
その結果、HPVワクチンを少なくとも1回は摂取したHPV接種群(52万7,871例、19例が発症)では、1度も接種しなかった非接種群(114万5,112例、536例が発症)と比べてリスクが63%低下していたといいます。
さらに、17歳未満で接種した対象に絞ると、非接種群と比較してリスクは88%低下、17~30歳で接種した対象でも53%低下していたようです。
このことから、「接種が早期であるほどリスクが低下することが示された」としていますが、これは大きな間違い!です。
レッドフラッグです!
まず、この手の研究は、いつもお伝えしている疫学的調査というもので、相関関係しか論じることができません。因果関係ではないことを最初に頭に入れておきましょう。
今回の研究デザインである疫学的調査では、
X 子宮頚がんワクチン→子宮頚がんの発症率の低下(因果関係)
ということです(因果関係は言えない)。
あくまでも、子宮頚がんワクチンを接種した集団としていない集団の間での、限定された条件下で、子宮頚がん発症率を比較しただけの統計です。
この論文の結果をよく読むと、ワクチン接種していないグループの方が、教育レベルや収入レベルが低い傾向が読み取れます(この論文でも考察で言及している)。
教育および収入レベルが、ガンなどの慢性病の発症に影響を及ぼすことは、疫学的調査の常識です(教育・収入レベルが低いと喫煙率が高まる)。
さらに、今回の調査では、子宮頚がん発症のリスク因子として認められている喫煙、性交渉、ピルの内服の有無、肥満といった要因を除外できていません。
これらの発症に及ぼす様々な要因を「交絡因子(comfounding factor)」といいます。
簡単に例を挙げると、ワクチンを受けたグループの方に肥満が少ない場合は、ワクチンではなく肥満そのものが子宮頚がん発症のリスクを高めている可能性があるということです。
疫学的調査では、これらの結果に大きな影響及ぼす交絡因子をなるべく除外(調整)しないと意味のない統計データとなります。その意味でも、重要な交絡因子を除外していない今回の疫学的調査はエビデンスレベルの低いものに該当します(もともと疫学的調査はエビデンスレベルが低い)。
この研究では30歳までの発症しか見ていませんが、世界的に見ても子宮頚がん発症のピーク年齢は、40~60歳です(Lancet Glob Health. 2020 Feb; 8(2): e191–e203)。
したがって、この研究では、実際の発がんの好発年齢まで追跡していないデータですので、ワクチンによって最終的に子宮頚がんが低下したかどうかはまだ判定できないはずです(多くの専門家もここでトラップにはまっている)。
このようにエビデンスとはとても言えない代物ですが、私たちが知りたいのは、副作用の方です。
HPVワクチンは、近年になって世界的に施行されているため、副作用のデータがかなり出揃っています(Immunol Res. 2018 Dec;66(6):744-754)。
アストラゼナカ、J&J(後日詳しく記事にします(^_−)−☆)の米国でのワクチン臨床試験の中止が騒がれている中、今回の調査報告は、世界の大衆を新型コロナワクチン接種の方に傾けたのではないでしょうか?
そもそも論になりますが、「ウイルス感染で発がんする」という幻想(germ theory)に基づいたフェイクサイエンスについては、次の著作で詳述していきたいと思います(^_−)−☆。