世にも恐ろしい臨床試験が行われていました。
なんと、胎児の発育不全(Fetal growth restriction (FGR))に対して、妊婦にバイアグラを投与するという実験。。。。。。。。
妊娠中の胎児の発育不全は、死産、流産、未熟児の誕生の原因となることが分かっています。
もちろん、その原因は、母親の糖のエネルギー代謝の低下です。
バイアグラは、高血圧や男性の勃起不全に使用されている医薬品。
その根拠となっているメカニズムは、バイアグラは一酸化窒素(NO)という血管を拡張する作用があるというものです。
実際は、一酸化窒素(NO)は、強力な炎症を引き起こして、結果的にリーキーベッセル(血管から血液が漏れ出る)を引き起こして血管を拡張します(それ以外にも青酸カリと同じ作用物質でもあります)。
これはいわゆる病的な結果の血管拡張に過ぎません。
あの狭心症で舌下で使用されるニトロも同じ。
血管を拡張したら、胎児への血流も多くなり、発育が促されるであろうという安易な発想で、オランダでバイアグラを妊婦に投与するという臨床試験が本当に開始されたのです。
しかし・・・・・
生まれてきた赤ちゃんが、肺障害(肺高血圧、ARDS)によって、死亡する事例が11例もあったため、臨床試験を中止しています(Lancet Child Adolesc Health. 2019 Mar;3(3):e2-e3)。
妊婦マウスにバイアグラを投与した最新の動物実験でも、仔マウスに高血圧、肥満、耐糖能異常(糖尿病)が出現しています(Am J Physiol Heart Circ Physiol, 318 (2), H252-H263 2020 Feb 1)。
これらは、一酸化窒素(NO)による糖のエネルギー代謝の低下から、他臓器にわたって慢性炎症を引き起こされたことが原因です。
ちなみに、妊婦に抗うつ薬(SSRI、SNRI)を投与すると、新生児に有意に肺高血圧症が高まることも分かっています(Br J Clin Pharmacol. 2017 May;83(5):1126-1133)。
これは、薬剤によって上昇するセロトニンそのものが肺の血管にダメージを与えることだけではありません。セロトニンは一酸化窒素(NO)を上昇させる作用もあるからです(Eur J Neurosci. 1996 May;8(5):959-67)(Br J Pharmacol. 2004 Feb; 141(3): 407–414)。
サイエンスの基礎が分かっていれば、このような唖然とするような臨床実験を行うことはなかったでしょう。
一酸化窒素(NO)は、元々は第二次世界大戦のダイナマイトからの転用物資です。
残念ながら、「一酸化窒素(NO)=血管拡張」に最も洗脳されているのが、現場の医師たちです。
血管を拡張し、血流をアップするのは、一酸化窒素(NO)のような毒物でなく、糖のエネルギー代謝であることを再認識しておきましょう(^_−)−☆。