捕獲されて動物園に閉じ込められている動物は、さながらロックダウン中の私たちと同じ状態に見えます。
野生の状態に比べて、動物園の狭い場所で暮らす動物たちの健康状態が悪く、かつ寿命が短いことが知られています。
フリーレンジだと野生ほどではないとしても、劇的に健康状態は回復します。
なぜ動物園の動物は健康状態が悪化するのでしょうか?
これをリアルサイエンスで見ていきましょう。
檻の中に入れられたチータとフリーレンジのチータの血液や死体を比較検討した研究が報告されています(PLoS One. 2016; 11(12): e0167608)(J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 2017 Apr 1;1049-1050:8-15)。
檻の中に入れられたチータでは、なんと有意にプーファ(PUFA)の血液濃度が高かったことが分かりました。もう一つはグリシンという重要なアミノ酸濃度が低下していました。
そして死体を調べると、檻の中に入れられたチータでは高率に胃炎、腎臓・肝臓障害、心臓の線維化、脳障害が認められました。野生のチーターの死体を検索してもこれらの病変はほとんど認められません。
なぜ檻の中のチーターはこの様な病態に陥るのでしょうか?
まず与える餌の問題です。
動物園では安価な鶏肉を餌として与えています。
鶏肉は・・・・・
そうです。現代の鶏肉はプーファリッチの食材の代表です。
そして筋肉部分しか与えていないことも災いしています。野生のチーターは、動物を捕獲して食べるときには、筋肉以外にも皮膚、腱、骨髄なども食べます。
皮膚、腱、骨髄にはコラーゲンがたっぷり。その主成分はなんと言ってもグリシンというアミノ酸です。筋肉部位のアミノ酸組成は良くないため、必ずこれらのコラーゲン成分がその悪影響を相殺する様になっています。
このグリシン欠乏は、消化にとって致命的な影響を与えます。
胃酸の欠乏と肝臓での毒性物質のデトックスの低下です。
この研究論文では植物に含まれる毒物であるフェノール酸(ポリフェノールなどのファイトケミカル)をグリシン欠乏によって肝臓でデトックスできなくなっていることがチーターの健康状態の悪化につながっているとしています(グリシンは胆汁産生を促進することで毒物を胆汁から排出する)。
そしてプーファ過剰によって多臓器にわたって線維化などの臓器障害が起こります。
もちろん、チーターはネコ科ですから、狭いところに押し込められるとストレスがマックスになるため、リポリシス(脂肪分解)が起こります。したがって、常時、血液中には大量のプーファが浮いている状態になっているのです。
この研究論文を読んでいて、まさにロックダウンで閉じ込められている、ジャンクフードが主食の現代人と動物園のチーターは全く同じであることに気づきました・・・・
質の悪い食事と行動・思考の自由を奪われることは、生命体を破壊して行くのです。
今回のロックダウン(将来も計画されている)は、動物も私たちと全く同じであることを気づかせてくれる機会でもあったのかも知れません。
動物園だけでなく、ワンちゃんなどのペットと暮らしている人も、動物の健康状態を真剣に考えることで、自分たちの健康状態のことにもたくさんの気づきがあると思います(^_−)−☆。