海抜から高いと頃に住んでいる人ほど、心身の健康が優れていることは、基礎医学等でお伝えしてきました(N Engl J Med. 1977 Mar 17;296(11):581-5)。
標高の高いところで生活することのメリットは、以前からお伝えする様に、体内の二酸化炭素濃度の上昇によるものです。
なぜ高地に長く滞在したり、標高の高いところに住んだりすると二酸化炭素濃度が高まるのでしょうか?
高地では酸素が薄くなります(酸素分圧が低下)。
酸素が豊富な海抜レベルでは、二酸化炭素は酸素と交換されて、肺から排出されます。
しかし、酸素の薄いところでは、二酸化炭素との交換は同じ様に起こりますが、元々の酸素量が少ない(ヘモグロビンに結合している酸素が少ない)ので、それと交換する二酸化炭素量も低下するのです。
イメージするのが難しいですね。私も納得するのに時間がかかりました(これはいずれ「ミラクルホルモンCO2」の著作か講義で詳しくお伝えしていこうと思います)。
そのため、二酸化炭素濃度が高まるため、糖のエネルギー代謝が高まります。具体的には、乳酸の産生が低下し、甲状腺機能が高まります(Eur J Appl Physiol Occup Physiol. 1998;77(1-2):37-43)。
実際に標高の高い場所で暮らすと、免疫抑制が外れて炎症が低下することが報告されています(Scand J Immunol. 2006;63:304–10)(Pediatr Pulmonol. 1994;17:304–11)(Proc R Soc Med. 1924;17:19–26)。
実際にアトピー性皮膚炎、喘息、乾癬などの炎症性疾患にも、高山治療(High-altitude climate therapy)が有効です(European Respiratory Journal 2012 40: 1374-1380)(Clin Exp Allergy. 2011;41:775–82)(Rehabilitation (Stuttg). 2000;39:215–22)(Praxis (Bern 1994). 2000;89:1147–53)。
糖尿病、心臓血管疾患などのメタボリック・シンドロームや結核などのバクテリア感染症に対しても高山治療は有効です(Am J Respir Crit Care Med. 2014 Feb 15;189(4):390-3)(International Journal of Biometeorology volume 21, pages93–122(1977))。
従って、感染症や難病とされる慢性病に対して、高地のサナトリウム(sanatorium)に居るだけで、改善してくるのです。これが私がいつも難病治療でお伝えしている転地療法です(^_−)−☆。