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『結核と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)』

 

結核は、感染症の王様であり、世界全体において感染症死亡の最多の原因になっています。

毎年、1000万人の新しい感染者を出し、そのうちの130万人が死亡しています(WHO. Global tuberculosis report 2018. Sept 18, 2018. https://www.who.int/tb/publications/global_report/en/ (accessed March 11, 2019).)。

しかも、現在の結核は、多剤耐性結核菌が半数を占めるようになっています(The Lancet.March 20, 2019 doi:10.1016/s0140-6736(19)30308-3 )。

従来の抗生物質が効かない結核菌が増えているのです。

オンライン講義でお伝えしたように、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が集中した中国、イラン、イタリアでは、この多剤耐性結核菌が多い地域です。

そして・・・・・・

まだプレプリント(preprint)といって、正式に論文の精査を受けたものではありませんが、結核の予防接種をしている地域に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が少ないことが報告されました(medRxiv March 28, 2020.doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.24.20042937)。

すでにオンライン講義では、潜在性結核感染(結核菌に感染していても発症していない状態)や活動性結核感染症では、新型コロナウィルス(SARS-COV-2)陽性になりやすくなることをお伝えしました(medRxiv March 16, 2020.doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.10.20033795)。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の死亡率は、結核感染がない場合は、2.27%に対して、結核感染がある場合は100%であることも報告されています(The Indian journal of tuberculosis · February 2020)。

『サイエンス』誌に、オランダで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対して結核のワクチンであるBCG(tuberculosis vaccine bacillus Calmette-Guérin)の効果を調べる臨床試験が開始されることが書かれていました(Scinece Mar. 23, 2020doi:10.1126/science.abb8297)。

これは、BCGがマクロファージなどの白血球を活性化して、いわゆる免疫記憶(trained immunity)を作ることで、他のウイルスなどの微生物にも効果を示すからとされています(『新・免疫革命』参)(Cell Host Microbe, 23 (1), 89-100.e5 2018 Jan 10)。

私がオンライン講義でお伝えした趣旨は、このようなワクチンには効果はなく、実際はBCGが使用されている結核多発地域では結核治療がなされているため、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症化が防げているこということです。

今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)では、シラミに効果がある薬剤が有効であることが報告されています(Antiviral Research 3 April 2020, 104787)。

このシラミに効果がある薬剤は、実際は多剤耐性結核菌にも有効なのです(Antimicrob Agents Chemother. 2013 Feb; 57(2): 1040–1046)。

今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の症状は、国や地域によって拡大に違いが見られます。

その原因として、新型コロナウィルス(SARS-COV-2)と違うものが、ばら撒かれているのではないかという憶測も流れています。

私は、当初からこの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症例は、結核を含めたバクテリアが主原因と主張してきました(オンライン講義で詳述しています)。

実際に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症例で起こるショック肺は、結核でも高率に起こります。

したがって、BCGが新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に効果を示すのではなく、結核菌などのマイコバクテリウム(Mycobactrium)に対する治療が効果を示していると考えているのです。

医療現場では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に気をとられていると、結核の診断が遅れるという問題が起こっています。

すでにこの問題は、結核がエピデミック(epidemic)になっている中国では、サーズ(SARS)の時に警告されていました。

サーズ(SARS)の診断に医療資源が失われて、結核の診断・治療に回らないという現実があったのですが、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)も全く同じ問題を抱えています。

実際の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の死亡例で、どれだけ結核関連の死亡が出ているか(=実際は結核感染で死亡している)は、今後の研究論文を待ちましょう。

このように、結核は今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症化と深く関係しています。

オンライン講義をすでに受けられた方には復習として、まだご受講されていない方には、今回の記事の内容と講義内容を照らし合わせて頂ければ幸いです😊。

 

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