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『新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と脂質の関係』

ウイルス感染と呼ばれる病態では、飽和脂肪酸が有効であることを脂質の講義でもお伝えしてきました。

特にココナッツオイルに豊富に含まれるラウリン酸(lauric acid)という飽和脂肪酸があります。

このラウリン酸(lauric acid)は、細胞実験では、14種類のDNAおよびRNAウイルスの感染率を低下させることが報告されています(Journal of Food Safety, 1982; 4(1): 1-12)(Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 1979; 15(1): 27-31)。

ラウリン酸には、アルゼンチン出血熱(Argentine hemorrhagic fever)を引き起こすウイルスの合成をブロックする作用も認められています(Archives of Virology, 2001; 146(4): 777-790)。

このウイルス(Junin virus (JUNV))は、表面に今回の新型コロナウイルス(SARS-COV-2)と似たスパイクタンパク質を持っています(Viruses, 2012; 4: 2317-2339)。

また、私たちの細胞にウイルス(vesicular stomatitis virus)が接着することを防ぐ作用も持っています(Journal of General Virology, 1994; 75: 353-361)。

その他、ココナッツオイルに含まれるカプリン酸(capric acid)という飽和脂肪酸も、抗ウイルス作用を持っています(Journal of Pharmaceutical Science, 1999; 88(10): 1011-1015)。

小規模の臨床試験では、エイズに対してココナッツオイル投与群において、リンパ球数(CD4+ T lymphocyte counts)を回復させる効果が報告されています(Cord, 2016; 32 (1): 50-57)。

ちなみに、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症例では、リンパ球数(CD4+ T lymphocyte counts)は低下します(オンライン講義参照)。

飽和脂肪酸は、実際はウイルス感染症と呼ばれる病態だけでなく、バクテリア感染にも効果があるため、家畜(豚、ニワトリ)やペット(ワンちゃん)の感染症にもひろく使用されています(OP Conf. Series: Earth and Environmental Science 2017; 85: 012048)。

その一方で、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の重症例で認められるショック肺(ARDS)では、プーファが病態を悪化させることが分かっています。

ショック肺(ARDS)では、プーファの脂質過酸化反応で形成されたアルデヒド(過酸化脂質)濃度が高まります(Crit Care Med, 24 (2), 241-6 Feb 1996)。

またリポリシス(脂肪分解)をブロックすると、ショック肺(ARDS)の症状が軽減されることも報告されています(Crit Care Med, 24 (7), 1129-36 Jul 1996)。

これはリポリシス(脂肪分解)で血液中に溢れ出したプーファが、糖のエネルギー代謝をブロックして免疫抑制を起こすからです。

今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策においても、摂取する脂質には十分にご留意ください(^_−)−☆。

 

 

 

 

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