みなさんは、漢方の甘草(カンゾウ)をご存知でしょうか?
甘草(licorice<リコリス>)という植物の根を採取し乾燥させたものです。
パレオ協会の会員様から先日、甘草は「植物性ステロイドだから安全で効果も高いと喧伝されている」という内容に関してご質問を頂きました(ブログの方からも同じ内容のメッセージがありました)。
私が25年前に受けた医師国家試験では、「甘草=肝機能障害」という暗記しかしていませんでした・・・・・・・・・
最近の甘草の有効成分(グリチルリチンglycyrrhizin<グリスライズン>)の研究を渉猟すると抗炎症作用や抗がん作用まで誇張されている始末(J Thorac Dis. 2019 Apr;11(4):1287-1302)。実際に細胞からプーファを遊離するストレス酵素(PLA2)をブロックする作用など有益な作用があります。
しかし・・・・・・
昔の国家試験でも副作用が問題となっているくらいなのに、このようなプラスの効用ばかりがクローズアップされているのは不思議ですね(よく調べると中国系の研究者の報告が大半を占めています)。
実は、この甘草。
“植物性ステロイド”と言いますが、私たちの体内で産生されるステロイドを同じ働きをします。
具体的にはアルドステロン、コルチゾールといったストレスホルモンと同じ作用をもたらします(Phytother Res. 2017 Nov;31(11):1635-1650)。
特に症状となって出やすいのが、高血圧、むくみ、不整脈、視力障害、筋肉崩壊(痙攣)です。
そもそも甘草自体がエストロゲン物質(phytoestrogen)で保護ホルモンであるアンドロジェンを低下させます(Int J Endocrinol Metab. 2012 Spring; 10(2): 497–502)。
つまり、甘草でも“人工去勢”できるのです。
美容の世界でも「甘草クリーム」などがマーケットに出回っているようです。
これは、漢方のように口から摂取するよりも危険です。
皮膚から吸収されたものは、肝臓でデトックスされることなく、全身を循環するからですね。
あらゆるものに対して当てはまりますが、使用する前に自分なりによく調べてみましょう(^_−)−☆。