鉄は、私たちの体内の様々な生体反応に必要な金属です。
しかし・・・・・
その扱いには慎重に慎重を重ねないとなりません。
なにしろ、酸素と反応しやすく、容易に「ハイドロキシラジカル」というプーファ(PUFA)の脂質過酸化反応を開始させる活性酸素を大量に産生します。
医薬品、サプリメントや食品で使用される鉄剤は、フリーの鉄と同じく反応性が高く危険であることは、パレオ協会のニュースレターでも詳述しました。
さて、その鉄を大量に抱えている組織とは何でしょうか?
それはみなさんの血液。
赤血球です。
赤血球は約3ヵ月くらいの寿命で新陳代謝しています。
そして、肝臓、脾臓において毎秒なんと500個の破壊された赤血球から放出される1,000兆個にも及ぶヘム鉄をリサイクルしています。
ヘム(鉄含有)は非常に毒性の強い物質で、体内に蓄積すると死に至ります。
そのため危険なヘムをマクロファージが回収して、骨髄へと運んでいます。
糖のエネルギー代謝が回っていないと、このヘムの回収ができずに、ヘムが分解されたフリーの鉄が血液中に放出されます。
鉄過剰ががん、関節リウマチなどの自己免疫疾患、アルツハイマーやパーキンソン病などの神経変性疾患、感染症など慢性病の大きな原因になっています(『鉄総集編』DVD)。
さて、このヘムを回収する手段として新た防御反応があるのではないかという最新の研究が発表されました(eLife, 2019; 8)。
それは、ヘムを結晶化して反応性を低下させるメカニズムです。
ヘムをクリスタル化したものを「ヒモゾーイン(hemozoin)」と呼ばれます。
いままで昆虫には、この結晶化物質が確認されていましたが、今回哺乳類であるマウスにも確認されたということでした。
私たちヒトでもこのような鉄に対する防御反応がある可能性があるといいます。
赤血球を破壊してヘムを大量に発生させるマラリア感染や溶血性貧血は、ヘムの放出のために高熱、肺水腫、関節炎などの全身症状が出ます。
このようなマラリア感染対策にも「ヒモゾーイン(hemozoin)」を誘導する治療法が将来的に有効だとしています。
いやいや・・・・・・
現実的には、余分な鉄を摂取しないことがまず日常で留意すべき点です。
そして、血液中に放出されたヘムや鉄の毒性(プーファとの反応)を少しでも減少させるためにも、まずはプーファ・フリーと糖のエネルギー代謝を回すことが最重要なのです(^_-)-☆。