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『毒物は少量では薬になるのか?』

 

「すべての物質は有害である。有害でない物質はなく、用量に依って毒であるか薬であるかが決まる」

16世紀の医師パラケルススの言葉とされています。

ここから奇妙な説がねつ造されます。

それがホルミシス効果というもの。

毒性物質は少量であれば、むしろ健康効果があるというものです。

ホルミシス効果については何度も取り上げていますが、サイエンスでのソリッドなエビデンスは皆無です。

さて、今回この毒性物質に関する研究が報告されています(Chaos: An Interdisciplinary Journal of Nonlinear Science, 2019; 29 (4): 041101)。

この研究ではアルコールの胎児への影響を調べています。

妊婦がアルコールを摂取すると胎児の脳機能がダメージを受けます(顔面・頭部の外見上の異常も出る)。

これを「胎児性アルコール・スペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorder (FASD))」と呼んでいます。

その結果は・・・・・

アルコール摂取量に関係なく、つまり少量のアルコールであっても、胎児が成長したあとの脳に機能異常が認められたのです。

具体的には、右脳と左脳を連結している脳梁(のうりょう)という神経線維のコネクトが悪くなっていました。

脳は左と右の脳で役割分担があり、右と左の脳の情報が統合してはじめて認知機能としてワークします。

その連結路(脳梁)が悪いと、右と左の脳の情報が統合できなくなります。

この連結路の問題は、「胎児性アルコール・スペクトラム障害( FASD)」以外にも自閉症、多発性硬化症、統合失調症、うつ病などでも認められます。

毒性物質によって受ける影響は、宿主側の糖のエネルギ―代謝に依存しています(樽理論)。

糖のエネルギ―代謝が低下している現代人では、たとえ少量の毒性物質でも命とりになりかねません。

たとえ、その代で目に見える影響がなさそうに見えたとしても、いつもお伝えするように次の世代、さらにその次の世代で影響が顕在化してきます。

基礎的なサイエンスを学ぶと、今回のアルコールの胎児への影響も放射線とまったく同じく安全値などあろうはずがないことが深く理解できます。

 

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