よくスポーツ業界では「筋肉記憶」があることがいわれています。
十代までに筋トレで筋肉を増強させていると、その後、加齢や運動不足で筋肉がなくなっても、筋トレを再開するとすぐに戻るというものです。
最新の理論では、遺伝子の配列は変化しないが、遺伝子のスイッチのオン/オフが変化すること(エピジェネティクス)で説明されていました。
いくら、長期間運動せずに筋肉を失うことになっても、トレーニングを再開すると昔の筋肉増強のスイッチがすぐに入るというとイメージしやすいでしょうか?
少しこれと違う見解を最新の研究で報告されました(Frontiers in Physiology, 2019; 9)。
筋肉に存在する核(遺伝子が入っている)に記憶されているといいます。
骨、心臓や骨盤の細胞では、一つ一つの細胞が一塊になって、あたかも一つの巨大細胞のようになっています。
筋肉もちょうど、このような形態になっているといいます。
このような形態の場合、一つ一つの筋肉細胞が失われていっても、記憶が、残存している筋肉細胞のどこかの核に残ります。
筋肉全体として記憶を保存していると言うとイメージしやすいでしょうか。
その全体に保存されている記憶がトレーニングの再会とともに、また筋肉細胞を作っていくベースになるということです。
私は、記憶については以前にもお伝えしましたが、ある特定の部位に存在はせずに、記憶物質が全身を循環していると考えています。
したがって、筋肉全体というより、その生命体全体に記憶が残っているといった方が実態に合っているでしょう。
筋肉の大半が失われても、トレーニングを再開すると、記憶物質によって筋肉が再構築されていくのです。
したがって、何歳になっても再開することに遅いということはありません(^_-)-☆。
それでは、若い頃にトレーニングをしてこなかったから記憶が形成されていない場合はどうでしょうか?
これについてはまだ検証されていませんが、記憶を作ればよいのです。
理論的にはいつ開始しても記憶が保存されて永続するはずです(^_-)-☆。
さて、今回それ以外にこの研究論文で興味深かったことがあります。
それは保護ホルモンであり、タンパク同化ホルモンであるテストステロンの投与も記憶されているという点です。
テストステロンを中止しても、その後このホルモンの筋肉増強効果は記憶されて効果が持続するということです。
保護ホルモンの健康効果が記憶されるというのは吉報ですね(^_-)-☆。