いわゆる「環境ホルモン(endocrine disrupting chemicals)」と呼ばれているプラスチック可塑剤は、過去記事でお伝えしように、ピーファス(PFAS)、ダイオキシン、塩化ビニル、ビスフェノール、ミネラルオイル、農薬や抗カビ剤など多岐に渡ります。
その中でも、世界中で私たちの日常生活用品、化粧品(ネイルポリッシャー、芳香剤など)、薬剤(賦形剤)、インク、柔軟剤あるいは医療機器などに頻用されているプラスチックの成分(可塑剤)は、「フタレート(phthalates)」と呼ばれている化学物質です。
コビット詐欺でも活躍したゴム手袋も、フタレート製品です。
これらの物質は、エストロゲン作用を持つため、等しく、アトピー、喘息、子宮内膜症、不妊、糖尿病などのメタボリック・シンドローム、ガンを引き起こします(Are Phthalate Exposure Related to Oxidative Stress in Children and Adolescents with Asthma? A Cumulative Risk Assessment Approach. Antioxidants (Basel). 2022 Jul; 11(7): 1315)(Association between Phthalate Metabolites and Risk of Endometriosis: A Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2019 Sep 30;16(19):3678)(Phthalate toxicity mechanisms: An update. Comp Biochem Physiol C Toxicol Pharmacol. 2023 Jan;263:109498)(Chemical Effects on Breast Development, Function, and Cancer Risk: Existing Knowledge and New Opportunities. Curr Environ Health Rep. 2022 Dec;9(4):535-562)(Phthalate exposure and risk of diabetes mellitus: Implications from a systematic review and meta-analysis. Environ Res. 2022 Mar;204(Pt B):112109)。
これらのエストロゲン作用物質の悪影響は、子孫にまで受け継がれていきます(環境遺伝といいます)(Multigenerational and transgenerational effects of endocrine disrupting chemicals: A role for altered epigenetic regulation?Semin Cell Dev Biol. 2015 Jul;43:66-75)(Exposure to di-(2-ethylhexyl) phthalate transgenerationally alters anxiety-like behavior and amygdala gene expression in adult male and female mice. Physiol Behav. 2019 Aug 1;207:7-14)。
近年では、このフタレートの深刻な健康被害や環境汚染のため、フタレート代替プラスチック可塑剤が開発されています。
しかし、このフタレート代替プラスチック可塑剤も、フタレートと同様にエストロゲンの主作用である甲状腺機能低下(糖のエネルギー代謝低下)を引き起こすことが報告されています(Insights into the Endocrine Disrupting Activity of Emerging Non-Phthalate Alternate Plasticizers against Thyroid Hormone Receptor: A Structural Perspective. Toxics. 2022 May 19;10(5):263)。
すでに私たちの家屋内では、フタレートのような従来のプラスチックの可塑剤だけでなく、フタレート代替プラスチック可塑剤のハウスダウストが蔓延しています(Nonphthalate Plasticizers in House Dust from Multiple Countries: An Increasing Threat to Humans. Environ Sci Technol. 2023 Mar 7;57(9):3634-3644)。
ハウスダストといえば、ダニを連想しがちですが、実際は、フタレートのようなエストロゲン物質が豊富に含まれているのです。
現代社会においては、ハウスダストに対するアレルギーも、ダニよりもこのようなエストロゲン作用物質が主原因となっている可能性が高いということです。。
家の中は、こまめに掃除して、埃(ほこり)をとっておきましょう(^_−)−☆。