痩せたいというダイエット志向だけでなく、うつ病などからも食事を拒むという「拒食症(anorexia nervosa)」という病態に陥ることがあります。
いったん、拒食症になると、顕著に出る症状が思考や意思の低下です。
これは脳神経や酸素を運ぶ赤血球が最も低血糖に弱いからです。
実際のラットの拒食症のモデルでは、脳の細胞(星状膠細胞, astrocyte)減少および脳全体の萎縮が起こることが分かっています(The reduction of astrocytes and brain volume loss in anorexia nervosa-the impact of starvation and refeeding in a rodent model, Transl Psychiatry. 2019 Jun 4;9(1):159)。
これは、脳細胞への糖不足が起こると、糖のエネルギー代謝がストップするからです(Oxidative metabolism in cultured rat astroglia: effects of reducing the glucose concentration in the culture medium and of D-aspartate or potassium stimulation, J Cereb Blood Flow Metab. 2006 Feb;26(2):153-60)。
当たり前の話ですね(^_−)−☆。
最新の研究で、ラットの大脳皮質に存在する脳細胞(astrocyte)を用いて、長時間低血糖状態にした結果が報告されています(Long-Term Glucose Starvation Induces Inflammatory Responses and Phenotype Switch in Primary Cortical Rat Astrocytes, J Mol Neurosci. 2021 Feb 12. doi: 10.1007/s12031-021-01800-2)。
低血糖に晒された脳細胞は、糖のエネルギー代謝が低下して、炎症性物質を放出するタイプに変化しただけでなく、小胞体ストレスというメタボリック・シンドロームやガンなどあらゆる慢性病の原因になる反応が高くなりました。
小胞体ストレスでは、タンパク質が機能をもつ形にすることができずに、異常タンパク質が集積し、ミトコンドリアに炎症を引き起こします(基礎医学「タンパク質と糖のエネルギー代謝」参照)。
低血糖にすると、脳細胞の一部は死滅するだけでなく、周囲に炎症を引き起こす原因にもなるということです。
糖不足で当初は、低血糖ストレスからストレスホルモンの上昇によって、攻撃性・衝動性・権威主義といった現代社会を覆う人格障害が起こります(その正反対のうつ病もエニアグラムの遊離型には起こる)。
しかし、糖不足が慢性化すると、脳神経細胞の持続的炎症によって脳神経細胞が死滅し、認知症や筋肉消耗などが加速していきます。
低血糖を引き起こすのは、拒食症以外にもファスティング、糖質制限、ケトン食など、一般健康ポップカルチャーがもてはやす不健全な療養も同様です。
糖悪玉説をいまだに唱えている人は、拙著『ワクチンの真実』や『ウイルスは存在しない・下巻』の感染症の根本治療のところは黒塗りしたいところでしょう(^_−)−☆。
みなさんの周囲にカリカリしている人がいたら、大事に至る前に黒糖やハチミツを舐めさせてあげてください(^_−)−☆。