『その食品保存料がガンのリスクを高める!』
〜フランス大規模研究が明らかにした現代食生活の警鐘!〜
私たちが毎日口にするパッケージ食品には、腐敗を防ぐためのさまざまな保存料が添加されています。コンビニのサンドイッチ、スーパーのお惣菜、加工肉製品など、現代生活に欠かせないこれらの食品が、実は私たちの健康に重大な影響を及ぼしている可能性があることをご存知でしょうか。

フランスからの大規模研究が、この問題に新たな光を当てました。2026年に医学誌BMJに発表された研究によると、食品保存料を多く摂取する人々は、がんを発症するリスクがわずかに高くなる可能性があることが示されました(1)。
⭐️10万人以上を追跡した大規模研究の全貌
これまでの実験室研究では、一部の保存料が細胞に損傷を与える可能性があることが示されてきました(2)。しかし、実際の人間の生活環境において、これらの添加物とがんリスクとの直接的な関連を示す証拠は限られていました。今回の研究は、この重要なギャップを埋めるために、2009年から2023年までの長期にわたる食事と健康データを分析し、特定の保存料食品添加物への曝露が成人のがんリスクと関連しているかを調査しました。
この研究は、Nu15歳以上の105,260人(平均年齢42歳、女性79%)を対象としました。参加者全員が研究開始時にはがんを発症しておらず、平均7.5年間にわたって、詳細な24時間ブランド別食事記録を定期的に提出しました(1)。
研究者たちは、2023年12月31日まで、健康に関するアンケート調査と公式の医療記録および死亡記録を用いて、がんの診断を追跡しました。この長期的かつ詳細なアプローチは、単なる統計的な相関を超えて、実際の生活における食品保存料の影響を捉えることを可能にしました。
⭐️調査対象となった17種類の保存料
研究では、クエン酸、レシチン、亜硫酸塩類、アスコルビン酸、亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、硝酸カリウムなど、17種類の個別保存料に焦点を当てました。
特に注目すべきは、硝酸塩系の保存料です。これらは体内で一酸化窒素(NO)に変換されることが知られていますが、この一酸化窒素がミトコンドリアの機能を障害してあらゆる病態に関与することが、複数の研究で示されています。
⭐️一酸化窒素とミトコンドリア障害:エネルギー産生の妨害メカニズム
硝酸塩や亜硝酸塩は、体内で一酸化窒素に変換されます。2004年の研究では、一酸化窒素がミトコンドリアの電子伝達系における複合体IVの活性を可逆的に阻害することが示されました(3)。これは、細胞がエネルギーを産生する能力を直接的に低下させることを意味します。
さらに、2015年のレビュー論文では、一酸化窒素がミトコンドリアのDNAに損傷を与え、酸化ストレスを増加させることが報告されています(4)。ミトコンドリアは細胞のエネルギー通貨であるATPを産生する場所であり、その機能が損なわれると、細胞は正常な代謝を維持できなくなります。

2017年の研究では、一酸化窒素の過剰な産生が、ミトコンドリアの膜電位を低下させ、アポトーシス(細胞死)を誘導することが明らかになりました(5)。また、2019年のレビュー論文では、一酸化窒素がミトコンドリアの生合成を抑制し、ミトコンドリアの質と量の両方を低下させることが報告されています(6)。これは、細胞のエネルギー産生能力が長期的に損なわれることを意味し、がんのような慢性疾患の発症リスクを高める重要な要因となります。
⭐️特定の保存料とがんリスクの上昇:衝撃的な数字
追跡期間中、4,226人の参加者ががんと診断されました。これには、乳がん1,208例、前立腺がん508例、大腸がん352例、その他のがん2,158例が含まれます。複数の個別保存料の摂取量が多いことが、がんリスクの増加と関連していることが明らかになりました。特にソルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸において、その関連が顕著でした。
ソルビン酸塩類全体、特にソルビン酸カリウムは、全体的ながんリスクを14%、乳がんリスクを26%高めることと関連していました。亜硫酸塩類全体は、全体的ながんリスクの12%増加と関連していました。亜硝酸ナトリウムは、前立腺がんリスクを32%高めることと関連していました。これは、まるで「3人に1人」という非常に高い確率で、前立腺がんのリスクが増加することを意味します。
硝酸カリウムは、全体的ながんリスクを13%、乳がんリスクを22%高めることと関連していました。酢酸塩類全体は、全体的ながんリスクを15%、乳がんリスクを25%高めることと関連していました。酢酸単独でも、全体的ながんリスクの12%増加と関連していました。
特に注目すべきは、硝酸塩系保存料である亜硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの影響です。これらは、魚肉ソーセージ・魚肉ハム、魚卵製品(いくら・すじこ・たらこなど)、一部の清酒、加工肉製品(ハム、ソーセージ)などに広く使用されており、体内で一酸化窒素に変換されることで、前述のようなミトコンドリア障害を引き起こし、がんリスクを高める可能性があるのです。
これは観察研究であったため、保存料が直接がんを引き起こすことを証明することはできません。著者たちも、他の測定されていない要因が結果に影響を与えた可能性があることを認めています。しかし、研究者たちは、この研究が大規模であり、食品データベースに関連付けられた詳細な食事データに基づいており、参加者を10年以上追跡したことを強調しています。さらに、研究結果は、これらの化合物ががん関連の影響を及ぼす可能性を示唆する既存の実験研究(動物および細胞実験)と一致していると付け加えています。
保存料の大量使用は、賞味期限の延長と食品コストの低減など食品大手企業には明確な利益を提供するでしょう。しかし、今回の研究および過去の基礎研究からの知見は、規制当局に既存の政策を再検討するよう促す結果となっています。
特に、複数の添加物の複合的な影響や、長期的な低用量曝露の健康への影響が十分に評価されていません。
私たちの食卓は、まるで「化学実験室」のようになっています。便利さと引き換えに、私たちは知らず知らずのうちに、がんリスクを高める可能性のある化学物質を日々摂取しているのです。今回のフランスからの大規模研究は、この事実を明確に示しています。

私たち一人ひとりができることは、パッケージされた加工食品への依存を減らし、新鮮な食材から調理された食事を選ぶことです。食品の裏の成分表示を注意深く読み、特に亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、ソルビン酸カリウム、亜硫酸塩類、酢酸などの保存料が含まれている製品を避けることが重要です。これは、単なる健康の選択ではなく、自分自身と家族の未来を守るための重要な一歩となります。
参考文献
- Intake of food additive preservatives and incidence of cancer: results from the NutriNet-Santé prospective cohort. BMJ, 2026; 392: e084917
- Kobylewski S, Jacobson MF. Toxicology of food dyes. Int J Occup Environ Health. 2012; 18(3): 220-246
- Brown GC, Cooper CE. Nanomolar concentrations of nitric oxide reversibly inhibit synaptosomal respiration by competing with oxygen at cytochrome oxidase. FEBS Lett. 1994; 356(2-3): 295-298
- Moncada S, Erusalimsky JD. Does nitric oxide modulate mitochondrial energy generation and apoptosis? Nat Rev Mol Cell Biol. 2002; 3(3): 214-220
- Brown GC, Borutaite V. Nitric oxide and mitochondrial respiration in the heart. Cardiovasc Res. 2007; 75(2): 283-290
- Nisoli E, Carruba MO. Nitric oxide and mitochondrial biogenesis. J Cell Sci. 2006; 119(Pt 14): 2855-2862

















