『あなたの「アイス選び」が健康を左右する!本当に安全なアイスの見分け方』
⭐️夏の誘惑に隠された真実
猛暑の日、スーパーやコンビニの冷凍庫の前で迷った経験はありませんか?色とりどりのアイスが並ぶ中、「どれも同じでしょ?」と思って手に取ったその一品。実は、その選択が、あなたの健康に大きな影響を与えているかもしれません。
アイスクリームの世界は、まるで化学実験室のように複雑で、その背後には驚くべき食品科学の仕組みが隠されています。今日は、医師として、そして真の健康を追求する一人の人間として、皆さんにアイスの真実をお伝えしたいと思います。
⭐️アイスクリーム界の「階級制度」を知る
アイスの世界には、実は厳格な「階級制度」が存在します。法律で定められた4つのカテゴリーがあり、それぞれが全く異なる「正体」を持っているのです。
◎アイスクリーム(貴族階級)
乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上
まさに「純血種」と呼べる存在で、乳脂肪以外の脂肪の添加が法的に禁止されています
◎アイスミルク(中流階級)
乳固形分10%以上、乳脂肪分3%以上
牛乳程度の栄養価を維持した「バランス派」だが、ここから植物油脂の混ぜ物が始まる
◎ラクトアイス(庶民階級)
乳固形分3%以上、乳脂肪分の規定なし
◎氷菓(平民階級)
乳固形分3%未満
かき氷やシャーベットなど
⭐️なぜ「アイスクリーム」だけが特別なのか?
ちょっと想像してみてください。アイスクリームを家庭で手作りするなら、何を使いますか?牛乳、生クリーム、卵黄、砂糖…まさにシンプルな天然素材だけですよね。
しかし、大手食品会社のようにコストを下げるために乳製品を減らすと、何が起こるでしょうか?それは、まるで楽器のオーケストラから主要な楽器を抜いて、代わりに電子音で補うようなもの。本来の美しいハーモニーは失われ、人工的な調整が必要になるのです。
⭐️植物油脂という「代役」の正体
アイスミルク、ラクトアイスやアイスミルク(つまりアイスクリーム以外)では、乳脂肪の代わりに酸化しやすい植物油脂(パーム油、ひまわり油など)が使われます。これは、植物油脂が政策によって安価に抑えられているからです。原材料のコストを考えると、本物のミルクよりも安価な植物油脂を使おうとするでしょう。
乳脂肪と植物油脂では、融点も成分も全く異なります。そのため、「食感調整」「乳化安定」「保存性強化」「クリーミーな口当たりの実現」といった課題を解決するために、複数の添加物(乳化剤、安定剤、ゲル化剤、増粘剤など)という「裏方スタッフ」が必須となるのです。
⭐️「甘さ」の裏に隠された化学工場
糖分においても同様の現象が起こります。天然の砂糖の代わりに、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)、アスパルテームのような人工甘味料、増粘多糖類などが使われています。これらの人工甘味は、本物の砂糖などの自然の甘味料と比較して、植物油脂と同じく低コストなのです。
しかし、拙著や過去記事でお伝えしてきたように、体への影響は砂糖とは全く異なります。
たとえば、砂糖や蜂蜜は血糖値を低下さえる作用がありますが、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)は炎症を引き起こして血糖値を高める反対の作用があります。
近年の研究では、増粘多糖類が腸内環境や代謝健康に与える影響について懸念も示されています。
「糖悪玉説」を信奉している方は、いまだに私が示すエビデンスを俯瞰して見ようとはしません。リアルサイエンス(古代からの叡智)は宗教ではありません。
<あなたが、「甘いものは体に悪い」と感じているものは、この天然のハチミツや砂糖の代わりに、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)、アスパルテームのような人工甘味料、増粘多糖類がふんだんに使用されている“超”加工品のスイーツや飲料です。>
これは私が定義する自然の甘味料を使用した「甘いもの」ではありません。
この文章を何度も読み直し、感情・信念だけでなく実体験して頂ければ深い洗脳から解放されると思います。
⭐️チョココーティングという「甘い罠」
チョココーティングされたアイスは、見た目の豪華さとは裏腹に、添加物の宝庫となりがちです。コーティング部分には、植物油脂、乳化剤、香料、着色料など、数多くの添加物が使用されることが多いのです。
チョコレートにも本物と偽物(植物油脂が混じっている)があることを知っておきましょう。
⭐️賢いアイス選びの指針:食の選択は未来への投資
パッケージの「種類別」表示を必ずチェックし、「アイスクリーム」表示のものを最優先にしましょう。
添加成分が少なく、聞き慣れた天然素材が中心のものを選択するということです。
少し高くても、本物のアイスクリームを週に数回楽しむ方が、安価で添加物の多いものを毎日食べるよりはるかにおいしく、かつ健康的です。
私たちが今日選ぶ一つ一つの食品は、明日の健康を作っています。アイスという小さな選択も、積み重なれば大きな違いを生みます。特に成長期の子どもたちには、できる限り天然の素材で作られた本物の味を体験させてあげたいものです。
真の豊かさとは、添加物に頼らない、シンプルで本物の味を楽しめることです。次回アイスを選ぶとき、この知識を思い出して、実体験していただければ幸いです。
参考文献
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