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『フタル酸パンデミック!~その二:許容量以下でも危険な現実』

 

 

私たちの生活に深く浸透しているプラスチック製品。その中に含まれる化学物質「フタル酸」が、想像以上に深刻な健康被害をもたらす可能性が次々と明らかになっています。特に衝撃的なのは、これまで「安全」とされてきた規制値以下でも、重大な健康影響が確認されているという事実です。

 

信頼性に欠ける規制当局の1日許容量

フタル酸の種類によって、各国の規制当局が1日の許容量を定めています。

 

 

 

しかし、その値は統一されておらず、その信頼性に欠けています。

 

 

 

これらの規制当局の許容量決定は、高濃度のフタル酸の急性中毒しか調べていません。日常生活では、むしろ低濃度のフタル酸への慢性暴露が主体であり、低濃度の慢性暴露のデータが不足しています。

 

 

また、さまざまな種類のフタル酸の累積していくリスクも評価していません。毒性の評価も、あまり鋭敏でない指標(endpoint)を使用しています。

 

 

 

許容量以下でも深刻な毒性

その結果、規制当局の許容量以下の濃度でも下記のエストロゲン作用が出ることが報告されています。

 

免疫系への影響

 

アレルギー疾患の発症リスク上昇

自己免疫疾患との関連性

 

生殖系への影響

性器の発達異常

生殖機能への悪影響

 

神経系への影響

脳の発達障害

行動異常のリスク増加

 

参考文献

・Risk assessment of endocrine disrupting phthalates and hormonal alterations in children and adolescents. J Toxicol Environ Health A. 2018;81(21):1150-1164.

 

・Phthalate exposure and allergic diseases: Review of epidemiological and experimental evidence. Environ Int. 2020 Jun:139:105706.

 

・Associations of prenatal phthalate exposure with neurobehavioral outcomes in 4.5- and 7.5-month-old infants. Neurotoxicol Teratol. 2022 May 16;92:107102.

 

 

 

日常生活での暴露経路(フタル酸累積リスク)

私たちは知らず知らずのうちに、様々な経路でフタル酸に暴露されています:

・水道管からの溶出

・飲食料品・サプリ・医薬品容器からの移行

・医療機器からの暴露

・日用品からの接触

 

たとえ個々のフタル酸暴露が1日許容量以下であっても、それらの相乗効果が多大な悪影響をもたらすことも指摘されています。

 

参考文献

・An analysis of cumulative risks based on biomonitoring data for six phthalates using the Maximum Cumulative Ratio. Environ Int. 2017 Dec 16;112:77–84.

 

. The cumulative risk assessment of phthalates exposure in preterm neonates. Int J Hyg Environ Health. 2023 Mar:248:114112.

 

・Nonylphenol in the environment: a critical review on occurrence, fate, toxicity and treatment in wastewaters. Environ Int. 2008 Oct;34(7):1033-49.。

 

 

多世代にわたるフタル酸の悪影響

フタル酸の悪影響は、暴露した個人だけに限定されません。これらのフタル酸の悪影響は、子供、孫、ひ孫と多世代に渡って悪影響を与えることも分かっています。

 

 

参考文献

・Effects and Mechanisms of Phthalates’ Action on Reproductive Processes and Reproductive Health: A Literature Review. Int J Environ Res Public Health. 2020 Sep 18;17(18):6811.

 

・Ancestral plastics exposure induces transgenerational disease-specific sperm epigenome-wide association biomarkers. Environ Epigenet. 2021 Mar 20;7(1):dvaa023.

 

 

 

 

 

このように、私たちは日常生活においては、たとえ一つのプラスチックから滲出するフタル酸の各々が許容量以下であっても、医療、水道管やサプリメントなどを通じて、他の複数のプラスチックやエストロゲン様物質に暴露しています。これらのエストロゲン作用物質は、累積して健康リスクを高めるだけでなく、相乗作用を持ちます。

毒性の問題については、専門家とされている人たち(多くは資本側に買収されている)は、「許容量以下だから問題ない」と繰り返し発言しています。しかし、私たちの現実の生活環境を考えると、その言葉にどれほどの信頼性があるでしょうか。これは実際の日常生活においては、まったくナンセンスな主張であることをリアルサイエンスは示しています。

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