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『「体の中身は何歳?」』

『「体の中身は何歳?」』

若い世代ほど進む生物学的老化と早期発症がんの意外な関係

 

私たちには、ふたつの「年齢」があります。1つは、誕生日のケーキにろうそくが1本ずつ増えていく暦上の「実年齢」。もう1つは、体の細胞や臓器がどれだけ消耗しているかを示す「生物学的年齢」です。

 

 

 

これはちょうど、自動車でいえば製造年式と走行距離の違いのようなものです。同じ年式の車でも、荒い運転で距離を重ねてきた車は、大切に乗られてきた車より早くガタがきます。そして近年の研究が示しているのは、「若い世代の車ほど、実はエンジンの消耗が激しい」という、にわかには信じがたい事実です。

 

 

ワシントン大学医学部の研究チームが2024年に学会発表した大規模研究では、若い世代は上の世代よりも生物学的な老化が速く進んでおり、しかもその「老化の加速」が、55歳以下で診断される「早期発症がん」のリスク上昇と結びついていることが明らかになりました(1)。

 

 

 

世界全体で早期発症がんの発症が増え続けていることは、1990年から2019年までのデータをまとめた2023年の国際的なレビュー論文でも確認されており、その発症率はこの約30年間で79%以上も増加したと報告されています(2)。かつて「がんは年をとってからなる病気」と考えられてきた常識が、いま静かに音を立てて崩れつつあるのです。

 

 

 

⭐️16万人以上のデータが語る「世代間の老化格差」

この研究で使われたのは、英国の大規模データベース「UK Biobank」に登録された15万4000人以上の成人のデータ、そして米国立衛生研究所(NIH)の「All of Us Research Program」に参加した1万人以上のデータです。生物学的老化の度合いは、血液検査などの生化学指標から推定される「生物学的年齢」と実年齢の差によって評価されました。

 

 

 

こうした推定法は、2006年に提唱された生物学的年齢の計算モデルを基盤とするもので(3)、さらに細胞の「本当の年齢」を読み取る「エピジェネティック時計」の手法が2013年に開発されて以来、老化研究は飛躍的に進歩してきました(4)。

 

 

 

解析は、体全体の老化を測る「全身老化」と、肺や腸、免疫系といった個々の臓器の老化を測る「臓器別老化」の2つのレベルで行われました。臓器ごとに老化の速さが異なり、それが特定の病気の予測に役立つことは、2023年に学術誌ネイチャーに発表された血漿タンパク質の大規模解析でも実証されており、体は決して一様に老けるのではなく、臓器ごとにそれぞれの「時計」を刻んでいることが分かっています(5)。

 

 

 

結果は衝撃的でした。英国のデータでは、1950年から1954年生まれの人と比べて、1965年から1974年生まれの人は、実年齢をそろえて比較した上でも全身老化の指標が23%高かったのです。米国ではその差がさらに劇的で、1965年から1969年生まれと1990年から1999年生まれを比べると、全身老化の指標は92%も高いことが示されました。言い換えれば、同じ35歳でも、いまの35歳の体は親世代の35歳の体より「中身が老けている」可能性があるということです。

 

 

⭐️体の「サビ」が進むほど、がんリスクは高まる

では、この老化の加速はどれほど深刻な意味を持つのでしょうか。全身老化が進んでいる人では、肺がんや消化器がん、子宮がんといった早期発症の固形がんのリスクが8%高いことが分かりました。さらに参加者を全身老化の程度によって3つのグループに分けて比較すると、最も老化が進んでいないグループに比べ、最も進んでいたグループでは早期発症の固形がんリスクが15%高かったのです。

 

 

 

この傾向は、がんになりやすさに関わる遺伝的な要因を統計的に取り除いた後でも変わらず認められました。つまり、生まれ持った体質だけでは説明できない、環境によって積み重なった体の「サビ」そのものが、がんの芽を育てている可能性が示唆されたわけです。私たちの生活環境の悪化が見て取れます。

 

 

 

臓器別の解析からは、さらに興味深い対応関係が浮かび上がりました。免疫系の老化の進行は早期発症肺がんのリスク上昇と、そして脂肪組織の老化の進行は早期発症大腸がんのリスク上昇と、それぞれ関連していたのです。

 

 

 

免疫系は体の中の「警備隊」のようなもので、日々生まれる異常な細胞を見つけて排除する監視役を担っています。この警備隊が老けて目が届かなくなれば、がん細胞の「脱走」を許してしまう。

 

 

 

脂肪組織もまた、単なるエネルギーの倉庫ではなく、先日もお伝えしたように、プーファなどの毒性物質が血液中に出て散らばらないように格納する重要な役割があります。

 

 

 

このように現代では、環境汚染、化学物質の氾濫や医療の強制(特に接種ものです)などによる生活環境の悪化が進んでいることが、老化や早期のガンの発症とダイレクトにつながっているのです。

 

参考文献

(1)Ruiyi Tian, et al. Accelerated aging increases the risk of early-onset cancers in younger generations. American Association for Cancer Research Annual Meeting Abstract 846, 2024

(2)Global trends in incidence, death, burden and risk factors of early-onset cancer from 1990 to 2019. BMJ Oncology 2023, 2, e000049

(3)A new approach to the concept and computation of biological age. Mechanisms of Ageing and Development 2006, 127, 240-248

(4)DNA methylation age of human tissues and cell types. Genome Biology 2013, 14, R115

(5)Organ aging signatures in the plasma proteome track health and disease. Nature 2023, 624, 164-172

 

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