私たちが楽しいと感じているときには、ワンちゃんも弾んでいます。
その一方で、私たちが元気のないときには、ワンちゃんも元気がなくなります。
明らかにワンちゃんは人間の感情を受け取っています。
このようないわゆる「感情の伝染(emotional contagion)」は、ヒトの間で認められることを過去記事でお伝えしました。
ワンちゃんをリードに繋いで散歩している途中で、向こうからガラの悪い人間が近づいてきたら時、飼い主が恐怖を感じると、ワンちゃんも同じように恐怖を感じます。これは、リードを通じて飼い主の恐怖が伝わったと言われています。
現代のサイエンスでは、この感情の伝染は、視覚的なサインや体臭(ストレスホルモンの匂い)の感知によるものとされています(I can see, hear, and smell your fear: Comparing olfactory and audiovisual media in fear communication. J. Exp. Psychol. Gen. 143, 825–834. https://doi.org/10.1037/a0033731 (2014).)。
しかし、視覚や嗅覚というのは、薬理学の誤った前提である「受容体仮説」を前提としています。
「受容体仮説」とは、ある物質が細胞にあるアンテナに結合して、はじめて細胞に変化が起こるとする仮説です。
この仮説は、一度も観察されたことがなく、証明されたこともありません(先日の『水は記憶する』講義でエビデンスをお伝えしたとおりです😀)。
さて、人のポジティブあるいはネガティヴな感情がワンちゃんにも伝わるかどうかを調べた研究が先日発表されています(The odour of an unfamiliar stressed or relaxed person affects dogs’ responses to a cognitive bias test. Sci Rep 14, 15843 (2024). https://doi.org/10.1038/s41598-024-66147-1)。
実験内容は少し複雑なので割愛しますが、ワンちゃんが人間のストレスの匂いを嗅いだとき、ネガティブな行動をとることが明らかにされました。
その一方で、ワンちゃんが人間のリラックスしたときの匂いを嗅いだとき、ネガティブな行動をとることはありませんでした。
この実験結果から、人間の感情はワンちゃんにも確実に「伝染」することが明らかにされました。
ちなみに、この感情の伝染は、猫、鳥など他の種の動物にもあてはまります。
人間に感情は必要ですが、その起伏をコントロールすることは、一緒に暮らしている動物の精神衛生上にも良いということですね(^_−)−☆。