頸動脈という私たちの首から脳に向かう太い対の血管があります。
血流が多いので、切ると出血多量で死亡します。
よく映画などでも、頸動脈を切る殺人のシーンがあります。
この頸動脈に動脈硬化が起こると、血管の内腔(ないくう)が狭くなり、やがて脳に行く血流が少なくなります。
その結果、脳に血が足らなくなり(脳虚血)、意識を失ったり、麻痺が出たりします。
やがて血管が完全に詰まると、脳梗塞に発展します。
脳神経外科では、症状が出ていなくても、MRIや血管造影検査などで、頸動脈が動脈硬化で狭くなっていると、動脈硬化の部分を切除する手術(carotid endarterectomy)をします。
最新の研究で、この手術で切除した257人の動脈硬化巣を調べると、6割から直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック」などの微小プラスチックが検出されたことが報告されました(Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events. N Engl J Med. 2024 Mar 7;390(10):900-910)。
微小プラスチックが動脈硬化の部位に検出されたグループは検出されなかったグループに比べ、脳卒中や心筋梗塞を発症したり、何らかの原因で死亡したりするリスクが4倍超でした(34ヶ月の追跡期間)。
つまり、私たちの飲み物、食べ物や大気中から摂取した微小プラスチックは、動脈硬化を進行させて血管を詰まらせる作用があるということです。
現代社会では、よほど山奥で自活している人たち以外は、大量の微小プラスチックから逃れることはほぼ不可能です。
なるべくプラスチック容器のものを摂取しないこと。
道路際などの車の往来の多い場所に長時間居ないこと(車のタイヤから微小プラが大量に大気中に排出されている)。
特に微小プラスチックの汚染の深刻な海産物の摂取を控えること。
そして、何より体内に微小プラスチックが入って生きたときに、排出するエネルギー(糖のエネルギー代謝、基礎代謝)を上げておくことに尽きます(^_−)−☆。