前回、「ガンは砂糖をエサにする」という誤った認識についてお伝えしましたが、その内容についてまだ十分に理解されていないことが、いくつかのコメントを見て分かりました。
ガンは特に脂肪(プーファ)をエネルギー源として増殖・転移します。
しかし、末期の状態では、脂肪やアミノ酸さえもエネルギー源として利用できなくなるため、糖を不完全燃焼して、エネルギー源とせざるを得なくなります。
この末期の状態が「ワーバーグ効果」と呼ばれるものでした。
ここで、誤解されるのは、ガンの予防には脂肪(プーファ)のカットが良いが、ガンになれば糖質カットが良いという解釈です。
ガンになれば、ガンの増殖・転移を抑えるために、脂肪(プーファ)をカットすることが望ましいです。
しかし、ここで糖質をカットするとどうなるでしょうか?
低血糖は、アドレナリン、コルチゾールなどのストレスホルモンの放出反応を引き起こします。
そして、ガンの人の体内の脂肪とタンパク質を分解して、血糖値を上げようとします。
この脂肪やアミノ酸から変換された糖がまたガンによって不完全燃焼のエネルギー源になります。
さらに、この脂肪とタンパク質の分解によって、さらに甲状腺機能が低下(プーファとメチオニンなどのアミノ酸による)します。
つまり、全身の糖のエネルギー代謝がさらに低下することで免疫が低下して、ますますガンの増殖・転移を助長します。
ワーバーグ効果が認められる末期の段階では、あらゆる治療法は手遅れになっているということです。
実際に、ワーバーグ効果が認められる末期がんでは、低血糖から脂肪やタンパク質が分解しつくされて、いわゆる「ガン悪液質」という瀕死の状態になっています(The Warburg effect drives cachectic states in patients with pancreatobiliary adenocarcinoma. FASEB J. 2023 Sep;37(9):e23144)(The Warburg effect in human pancreatic cancer cells triggers cachexia in athymic mice carrying the cancer cells. BMC Cancer. 2018 Apr 2;18(1):360)。
ガン悪液質が進行すると、心臓の筋肉まで動員される(かつ心臓のミトコンドリア機能不全)ので、心臓の機能不全、つまり心不全、心停止が起こります。
「ガン悪液質」とモルヒネの過剰投与こそが、ガンの本当の死因です。
この状態で、糖質をカットすると、ますます「ガン悪液質」が進行します。
以上から、ガンのどのステージおいても、糖質カットは最悪の結果を招くことになるのです。