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『「便器の蓋を閉めて流す」のは迷信?〜リアルサイエンスシリーズ』

 

 

ニュー・ノーマル時代に入った現在、日本のホテルやデパートなどのトイレに入ると、「流すときには、便器の蓋を閉じましょう」という標語が貼ってあります。

 

 

実際に、トイレで流す尿、便、あるいは嘔吐物などからのエアロゾルが空中に散布されています。

 

 

排便後、流す前に便器を閉じた場合は、トイレ内のバクテリア(細菌)のエアロゾル数が減少したという過去の研究が報告されています(Potential for aerosolization of Clostridium difficile after flushing toilets: the role of toilet lids in reducing environmental contamination risk. J Hosp Infect. 2012;80:1–5)。

 

 

 

 

 

ウイルス粒子(実際はエクソソーム)のエアロゾルもやはり便器の蓋を閉じてから流した方が、エアロゾル数は少なくなるのでしょうか?

 

 

便器の蓋を閉めてから水を流すことによる、ウイルス粒子を含んだエアロゾルの発生とトイレの床や壁などの表面へのウイルス粒子の付着に与える影響を調べた最新の研究で報告されました(Impacts of lid closure during toilet flushing and of toilet bowl cleaning on viral contamination of surfaces in United States restrooms. American Journal of Infection Control 52 (2024) 141–146)。

 

 

人体に無害なウイルス(バクテリオファージMS2)を家庭用トイレと公共トイレの便器にまき、便器の蓋を閉めた状態と開けた状態で水を流しました。そして、便器の中の水や、便座、周囲の壁や床などの表面からサンプルを採取しています。

 

 

 

その結果、家庭用トイレの水を流す際に蓋が開けられたままだったか閉められたかにかかわりなく、トイレ(公衆トイレも含む)のさまざまな表面から採取されたウイルスの量に差はないことが明らかになりました。

 

 

便器の蓋を閉めてから水を流しても、ウイルス粒子のエアロゾル飛散防止には意味がないということになります。

 

 

 

便器を塩酸配合の洗剤で掃除すると、便器内の水から検出されるウイルス粒子量が99.99%超減少することも分かりました。

 

 

 

 

 

塩酸の洗剤は私たちにとっても毒性が強いので、水や石鹸などによる洗浄でもバクテリアおよびウイルス粒子(実際はエクソソーム)量が減ることが示されればそれに越したことはありません。

 

 

 

便器の蓋を閉めて流すことより、普段のトイレ掃除の方が大切ということですね(^_−)−☆。

 

 

 

ただし、このような実験は、あくまでも「病原体仮説」という信念(エビデンスではない)に基づいたものです。

 

 

 

こまめなトイレ掃除は良いとしても、「感染」という現象については、病原体そのものの問題ではなく、私たち自身の健康をキープしておくことの方が大切であることは言うまでもありません(^_−)−☆。

 

 

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