『糖質制限にエビデンスはなし〜リアルサイエンスシリーズ』

 

現代社会では、糖質制限(低炭水化物食、low‐carbohydrate diets)は、「痩せる、健康になる」と喧伝され、商業的に活況を呈しています。

 

 

糖質を断つ危険性については10年以上も前から警告していきましたが、そこにさらに一石を投じる最新のコクランのレヴュー論文(今までの研究の検証&総まとめ)が公表されました(Low‐carbohydrate versus balanced‐carbohydrate diets for reducing weight and cardiovascular risk. Cochrane Database Syst Rev. 2022; 2022(1): CD013334)。

 

 

糖尿病のある、あるいは糖尿病のない過体重、肥満のヒトを対象にした現在までの糖質制限の臨床試験を再検討しています。

 

 

その結果、糖質制限は、非糖質制限食と比較して、体重減少効果および心臓血管疾患のリスク低下効果がないことが再度確認されました。

 

 

一方、糖質制限を行うと、便秘、腹部膨満、下痢などの消化器症状、頭痛、食欲低下、口臭、全身倦怠感、抜け毛が起こります(A randomized controlled trial to evaluate the effects of high Protein Complete (lActo) vEgetaRian (PACER) diet in non-diabetic obese Asian Indians in North India. Heliyon 2017;3(12):e00472)(Weight and metabolic outcomes after 2 years on a low-carbohydrate versus low-fat diet: a randomized trial. Annals of Internal Medicine 2010;153(3):147-57)(Complications of treatment of epilepsy by a ketogenic diet. Revista de Neurologia 2001;33(10):909-15)(low-carbohydrate, ketogenic diet versus a low-fat diet to treat obesity and hyperlipidemia: a randomized, controlled trial. Annals of Internal Medicine 2004;140(10):769-77)。

 

さらに糖質カットを継続することで、焦燥感、気分のムラ、集中力の低下などの精神神経症状が出てきます(Long-term effects of a very low-carbohydrate diet and a low-fat diet on mood and cognitive function. Archives of Internal Medicine 2009;169(20):1873-80)(Low- and high-carbohydrate weight-loss diets have similar effects on mood but not cognitive performance. American Journal of Clinical Nutrition 2007;86(3):580-7.)。

 

 

これは、糖質を制限すると、リポリシス(脂肪分解)が起こり、プーファが血液内に溢れ出し、それらのプーファが細胞に取り込まれることによって発生します。

 

 

そして、細胞は、糖のエネルギー代謝から脂肪のエネルギー代謝へ転換していきます。これを「メタボリック・スイッチ」と呼び、老化・慢性病の主因であることを拙著『慢性病の原因は、「メタボリック・スイッチ」にあった!』でも明らかにしました。

 

 

糖質をカットすることで、このメタボリック・スイッチが起こることは、「糖悪玉説」を執拗に唱えている論者が発表している論文や著書でさえも記載している内容です(Increasing adiposity: consequence or cause of overeating? JAMA 2014;311:2167-8)(Taubes G.Good calories, Bad Calories: Challenging the Conventional Wisdom on Diet, Weight Control, and Disease. New York: Alfred A Knopf, 2007)。

 

 

このレビュー論文では、臨床試験の期間が最大でも2年間しかないものであることを指摘しています。

 

糖質制限の臨床試験において、長期間の結果は公表されていないのです。

 

このように長期間の臨床試験のエビデンスもないまま、商業的に糖質制限が成功を収めている理由は、♨️権力者のプロットにかなった食事法だからです(^_−)−☆。

 

 

 

関連記事

  1. 『BPAフリーにご注意!』

  2. 『ロックダウンは最も死亡率を高める政策』

  3. 『人間の抗ガンシステムー保護ホルモンDHEA』

  4. 『ストレスの指標―ヒトも完熟する?』

  5. 『いよいよ始まった:デジタルヘルスパスポートがスタンダードに』

  6. 『ゲイツ&ミリンダにいっぱい食わされた?』

  7. 『ハウスダスト(埃)が危険な理由〜リアルサイエンスシリーズ』

  8. 『使ってはいけない着色料〜リアルサイエンスシリーズ』