私たちは、中年以降になると加齢とともにどうしても腰回りなどに脂肪が付きがちですね。
私自身の経験では、不眠などストレスによって30歳前後ですでに、一時期お腹にかなり脂肪が蓄積しました。
中年以降の人たちが、若いときのようにスリムな体型を維持するには、「運動や食事に気をつける」というのは、一般的によく言われています。
しかし、これではあまりにも抽象的すぎます。
具体的には、「基礎代謝(糖のエネルギー代謝)を高める」ような運動や食事をすることが体型を維持する最も近道になります(過去記事参照)。
さて、このような「自助努力」ではなく、自然と痩せてくるケースがあります。
数年会っていなかった人が、久しぶりに会ったときに、痩せこけていて貧相に見えたという経験をしたことはないでしょうか?
最新の疫学的調査で、自助努力なしに自然と痩せていくケースに警告を鳴らす結果が出ています(Cancer Diagnoses After Recent Weight Loss. JAMA, 2024; 331 (4): 318)。
1976年に30〜55歳だった人および1986年に40〜75歳だった人の総計157,474 人のデータを2016年まで解析した調査です。
その結果、食事や運動によらない体重減少を認めた人は、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、胆管がんなどの上部消化管のガンや白血病、多発性骨髄腫やリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma)などの血液のガン、そして大腸がんや肺がんの発生と相関関係にあることが分かりました。
一般にガンの初期段階では、目立った体重減少を起きません。
したがって、予期せぬ体重減少は、ガンの進行の一つの指標となり得ます。
ガンの進行で体重が自然に減少するのは、筋肉が溶かされていくからです。
何によって筋肉が溶かされるのでしょうか?
ガンでは、「コルチゾール」というストレスホルモンが過剰に分泌されています(Tumors produce glucocorticoids by metabolite recycling, not synthesis, and activate Tregs to promote growth. J Clin Invest. 2023 Sep 15;133(18):e164599)。
コルチゾール(医薬品のステロイドと同じ成分)は、筋肉を砕いて糖に変換するのが主作用です(低血糖を防ぐストレスホルモン)。
ガンでは、コルチゾールが過剰分泌され、そのコルチゾールが筋肉を削ぐことで、痩せていくのです(脂肪も同時に分解される)。
これは、病的な痩せです。
糖質制限を厳格に行うと、筋肉がなくなっていく同じ「病的痩せ」になります。
何もしていないのに、最近体重が減ってきたというのは、あまり良いサインではありません。
一方、基礎代謝を高める健康的な痩せでは、目の輝きや皮膚の艶がよくなります(^_−)−☆。