日本酒が飲める人でも、少し赤ワインを飲んだだけで、その後数時間にわたって拍動性の頭痛が起こるケースがあります。
これは「赤ワイン頭痛(red wine headache)」と呼ばれています。
なぜ酒と同じアルコールであるはずの赤ワインで頭痛が起こるのでしょうか?
赤ワインには、豊富な抗酸化物質(ファイトケミカル)が含まれています。
抗酸化物質といえば聞こえが良いですが、実際はブドウの持つ毒性物質(ファイトケミカル)です。
ブドウが虫、紫外線や熱などから身を守るために備えている毒です。
そのブドウの持つ毒性物質でサプリメントとしても人気のあるものが、「レスベラトロール」とよばれる物質です。
レスベラトロールは、発ガン作用のあるエストロゲン作用物質です。
さて、ブドウにはそのほかにも抗酸化物質とよばれる毒性物質があります。
他の野菜や果物の皮にも含まれているケルセチン(quercetin)もその一つです。
ケルセチンは、タマネギやブロッコリーなどの野菜にも豊富に含まれているポリフェノールの一種(フラボノイド)です。
赤ワインを飲むと、それに含まれているケルセチンがみなさんの肝臓で代謝されます(毒性物質なのでは肝臓でデトックスされる)。
この肝臓で代謝されたケルセチン(quercetin glucuronide)は、アルコールのデトックスを邪魔することが最新の研究で明らかになりました(Inhibition of ALDH2 by quercetin glucuronide suggests a new hypothesis to explain red wine headaches. Scientific Reports, 2023; 13 (1))。
ケルセチンはアルコールの代謝(デトックス)酵素をブロックするため、アセトアルデヒド(acetaldehyde)が蓄積します。
アセトアルデヒドは、顔面を紅潮させ、頭痛と吐き気をもたらします。
アジア人がアルコールに弱いのも、このアセトアルデヒドを代謝する酵素が弱いからです。
ちなみに、アセトアルデヒドは、プーファの過酸化脂質の一種で、炎症および発ガン物質です。
抗酸化物質は、本質的に植物の持つ毒性物質です。
抗酸化物質は、糖のエネルギー代謝をブロックするだけでなく、体内で代謝されて悪影響を及ぼすことにも留意しなければなりません(^_−)−☆。