糖質制限している糖尿病の方がいきなり糖(炭水化物)を摂取するのには、かなりの心理的抵抗があると思います。
これは、実際にブドウ糖を摂取すると、血糖値がスパイクするからです。
なぜブドウ糖を摂取すると、血糖値が上昇するのでしょうか?
それは、拙著でも繰り返し述べているように、現代人の血液中および体内に溢れかえっているプーファがブドウ糖の細胞内利用を邪魔しているからです。
さらに、現代食は、プーファおよび果糖ブドウ糖液糖(HFCS)過剰食です。
このプーファ&果糖ブドウ糖液糖(HFCS)という現代食のコンビネーションは、糖尿病や精神・脳障害の大きな原因になっています(Long-term high-fructose high-fat diet feeding elicits insulin resistance, exacerbates dyslipidemia and induces gut microbiota dysbiosis in WHHL rabbits. PLoS One. 2022; 17(2): e0264215)(High-fructose and high-fat diet-induced insulin resistance enhances atherosclerosis in Watanabe heritable hyperlipidemic rabbits. Nutr Metab (Lond). 2015 Aug 12;12:30)(High Fructose Corn Syrup-Moderate Fat Diet Potentiates Anxio-Depressive Behavior and Alters Ventral Striatal Neuronal Signaling. Front Neurosci. 2021; 15: 669410)。
ショ糖や果物に含まれている自然の果糖(フルクトース)が悪いのではなく、「果糖ブドウ糖液糖(HFCS)」というGMの人工物がプーファと同じ作用をするのです(パレオ協会ニュースレター『果糖ブドウ糖液糖の真実:「果糖悪玉説」に終止符を打つ』参照)。
したがって、すでに血糖値(ブドウ糖濃度)が高い人は、まずはブドウ糖の細胞内利用を邪魔するプーファをフリーにすることを徹底しなければいけません。
このプーファが完全に身体に悪影響を与えないレベルに達するには、5年間は必要です。
これも拙著でお伝えしたように、すでに現代人の体内に蓄積しているプーファが、ストレス(糖質制限、断食、スポーツなど)を契機に、血液中に溢れ出てくるからです(これを「リポリシス」といいます。万病の源です)。
体内に蓄積しているプーファが肝臓によってデトックスされて排出されるのに、5年はかかるのです。
したがって、プーファ・フリーを5年徹底すれば、誰でも糖尿病は自然治癒していきます。
さて、プーファをフリーにした場合の食事内容は、どのようなものが適切になるのでしょうか?
血糖値が低下すると、ストレスホルモンが出動して、体内に蓄積しているプーファが血液中に溢れ出るので、せっかく食事でプーファを制限していても、体内はプーファだらけになり、血糖値が上がります。
したがって、糖尿病の食事に限らず、現代人の食事は、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)をキープすることが先決になります(特に脳は大量の糖を必要とする。運動中の心臓や筋肉も同様)。
そこで大事になるのが、血液中のブドウ糖を利用できるように、プーファの邪魔を軽減する方法です。
食事でそれを可能にするのは、本物の果糖(フルクトース)です。
果糖は、ブドウ糖の利用を高め、かつインシュリンというホルモンの分泌を必要としません(I型糖尿病は、膵臓からインシュリンが分泌できない)。
したがって、血糖値を維持し、かつプーファのブドウ糖利用の邪魔を軽減する食材は、「ブドウ糖+果糖」のコンビネーションになります。
このコンビネーションは、自然の甘味料の成分です!
ショ糖、ハチミツ、メイプルシロップ、フルーツなどの甘味は、すべて「ブドウ糖+果糖」のコンビネーションです。
血糖値のスパイクが心配な方(本当は血糖値が高くなるのは、結果であって糖尿病の原因ではない)は、プーファ・フリーを徹底するだけでもかなり血糖値が安定してきます。
さらに、そこに徐々に、自然の甘味である「ブドウ糖+果糖」を摂取していくことです。
良質な炭水化物とは、この自然の甘味のことです。
数年プーファ・フリーを徹底し、自然の甘味を徐々に食事に増やしていけば、ブドウ糖の塊である炭水化物(穀物、エネルギー源、ただし小麦は厳禁)もを食べられるようになります。
可能であれば、果糖の含有量が高いハチミツなどの自然の甘味を治療目的でテーブルスプーン1杯くらいを1日2回から開始し、まずは3ヶ月間継続してみましょう。もちろん、プーファ・フリーとストレスマネイジメントが大前提かつ必須です(^_−)−☆。