みなさんは、ポリフェノールや抗酸化物質と聞くと、体の酸化を防いで、老化を遅らせるというような印象をお持ちではないでしょうか?
抗酸化物質は、実はその逆の作用(老化や慢性病を進行させる)ことを拙著および過去記事で繰り返しお伝えしてきました。
ポリフェノールは、植物だけでなく、コーヒーや動物性食品などにも含まれています。
そのポリフェノールは、私たちが食べる乳製品や肉類といった動物性食品では、植物とは違った状態にあることが報告されています(Covalent bonding between polyphenols and proteins: Synthesis of caffeic acid-cysteine and chlorogenic acid-cysteine adducts and their quantification in dairy beverages. Food Chemistry, 2023; 403: 134406)。
動物性食品中のポリフェノールは、鉄などの金属などの酸化を受けて、酸化型のポリフェノールに変化しています(みなさんがイメージする抗酸化物質のポリフェノールとは逆の作用を持つ物質)。
そして、この酸化型のポリフェノールは、動物性食品に豊富にあるアミノ酸(システイン)と結合した「ポリフェノール(酸化型)ーアミノ酸」結合体の状態になっているのです。
最新の白血球(マクロファージ)の実験研究で、この「ポリフェノール(酸化型)ーアミノ酸」は、過剰な炎症をポリフェノール単独よりも抑え、かつポリフェノールのような免疫抑制(免疫力低下)作用を持たないことが示されました(Phenolic Acid–Amino Acid Adducts Exert Distinct Immunomodulatory Effects in Macrophages Compared to Parent Phenolic Acids. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2023; DOI: 10.1021/acs.jafc.2c06658)。
ポリフェノールは、オメガ3やステロイド薬と同じく白血球の反応をすべて抑えてしまいます(=免疫抑制)。
しかし、動物性食品に含まれる「ポリフェノール(酸化型)ーアミノ酸」は、余分な炎症(TNF-a, PGE2)はポリフェノールよりも強く抑えますが、白血球の反応(活性酸素種の発生)は抑えません。
炎症の主体となるプーファのエイコサノイド(PGE2)の発生も、「ポリフェノール(酸化型)ーアミノ酸」は強く抑えるのです。
これは、糖のエネルギー代謝が高いときの免疫状態です。
この「ポリフェノール(酸化型)ーアミノ酸」は、乳製品、肉類に認められますが、同じ状態は、「コーヒー+ミルク」でも作れます。
コーヒーには、コーヒー酸(Caffeic acid)やクロロゲン酸(chlorogenic acid)といったポリフェノールが豊富に含まれています。
これらのポリフェノールがミルクと混ざることで、酸化されてミルク中のアミノ酸と結合するのです。
最適の免疫状態(一般に言われる免疫力の向上)は、動物性食品あるいは「コーヒー+ミルク」で作られるのです(^_−)−☆。