いわゆる男性型脱毛症(androgenic alopecia , AGA)の育毛剤・発毛剤で定番となっている医薬品にフィナステリド(Finasteride)があります(商品名プロペシア)。
フィナステリドは、良性前立腺肥大の治療と緩和に使用されている「プロスカー」と呼ばれる薬に含まれている成分です。
プロスカーを使用していた人に発毛の効果があることが認められたことで、その後男性型脱毛症(AGA)治療薬としての開発が進められることになったという経緯があります(グローバル製薬会社の作り話でしょう)。
過去記事で、この育毛剤・発毛剤を使用したあとに、うつ病や性機能障害などの後遺症(post-finasteride syndrome (PFS))が起こることをお伝えしました。
「フィナステリド」は5αリダクターゼという重要な酵素を抑制し、保護ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」の生成をブロックすることが主作用です。
現代医学では、なんと育毛や発毛に必要なジヒドロテストステロン(DHT)が脱毛の原因であるという奇妙奇天烈な仮説を打ち出して、医師たちを洗脳しているのです。
最新の研究で、このフィナステリドの後遺症のメカニズムが明らかにされています(Gut Inflammation Induced by Finasteride Withdrawal: Therapeutic Effect of Allopregnanolone in Adult Male Rats. Biomolecules. 2022 Oct 26;12(11):1567)。
ラットにフィナステリドを皮下注射した結果を調べています。
その結果、ラットの腸内ではステロイド合成に障害が出ました。
ジヒドロテストステロン(DHT)だけでなく、アロプレグナノロン(allopregnanolone)という脳内のプロゲステロン誘導体ステロイドも減少しています。
アロプレグナノロンの減少は、うつ病や不安神経症を引き起こすため、現代医学でさえ抗うつ剤として使用しているところがあるくらいです。
この保護ステロイドの減少は、フィナステリドを中止して1ヶ月経過した後でも、回復しませんでした。
さらに、興味深いことが分かっています。
腸内では、ドーパミンが減少する一方で、セロトニンや炎症性サイトカイン(IL-1b,TNF-a)は上昇しました。ちなみに、この特徴はクローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸炎も同様です。
つまり、フィナステリドは、うつ病や炎症性腸炎の原因であるアロプレグナノロンおよびドーパミンの減少、そしてセロトニンの上昇を引き起こすのです。
この実験では、フィナステリド後遺症(PFS)に対してアロプレグナノロンを投与すると、ステロイド合成を回復させ、セロトニンと炎症性物質を減少させました。
フィナステリド後遺症(PFS)に対して、これから世界中で集団訴訟が起こることは間違いないでしょう(^_−)−☆。