この20年くらいで、急激に増加した女性のガンの一つに子宮ガンがあります。
過去記事で、ヘアーストレートナー(縮毛矯正剤)の使用と卵巣ガン発症リスク上昇の間に相関関係が認められたことをお伝えしました(Use of hair products in relation to ovarian cancer risk. Carcinogenesis. 2021;42(9):1189-1195)。
最新の研究で、ヘアーストレートナー(縮毛矯正剤)の使用と子宮ガン発症リスク上昇との相関関係が報告されています(Use of Straighteners and Other Hair Products and Incident Uterine Cancer. J Natl Cancer Inst. 2022 Oct 17;djac165)。
このヘアーストレートナー(縮毛矯正剤)の何が卵巣ガンや子宮ガンの発生と関係しているのでしょうか?
それは、縮毛矯正剤に含まれる「ホルムアルデヒド(formaldehyde)」という発癌物質です。
美容室に入ってムッとする嫌な臭いは、このホルムアルデヒドが揮発したものです。
ホルムアルデヒドは、シックハウス・シンドロームの原因でもあります。
プーファの脂質過酸化反応、タバコの煙あるいはアルコールの代謝によっても、アルデヒドが発生します。
特に頭皮は、血管が多く、他の皮膚よりも経皮吸収率が高い部位です(Disorders of the hair and scalp in blacks. Dermatol Clin. 1988;6(3):387-395)。
したがって、頭皮に付着した染料や縮毛矯正剤は、容易に血管内(頭皮)に吸収されます。
したがって、ホルムアルデヒドが全身の血液を循環することになるので、卵巣・子宮だけでなく、あらゆる臓器にガンを引き起こす可能性があります。
どうしても、美容室で染料や縮毛矯正剤を使用したい場合は、頭皮に付着しないように工夫をした方がよいでしょう(もちろん、揮発したアルデヒドを吸い込むことは避けられません)。