『あなたの腰痛の原因は?〜リアルサイエンスシリーズ』

 

私は長年の筋トレと姿勢の悪さによって、腰痛を経験しました。

 

これは、腰部の筋肉に過剰なストレスをかけていたことから発生しています。

 

 

 

しかし、一般の腰痛の最大の原因は、腰椎のクッションである椎間板の変性(Intervertebral disc degeneration (IVDD))によるものです。

 

この腰痛の原因になるクッションの変性の原因が意外なところから突き止められています。

 

 

サラセミア(thalassemia)という貧血を来たす病態があります。頻回の輸血を必要とするために、鉄過剰が問題となります。

 

このサラセミアの人に腰痛、側弯などの腰椎の問題が発生することが報告されています(Bone disease and skeletal complications in patients with beta thalassemia major, Bone 48 (2011) 425–432)。

 

さらに、サラセミアの人の腰痛をMRI で検査すると、椎間板というクッションが変性しています(The spine in beta-thalassemia syndromes, Spine 37 (2012) 334–339)。

 

鉄過剰によって様々な臓器障害が起こる「ヘモクロマトーシス(hemochromatosis)」という有名な病態があります。

 

 

この「ヘモクロマトーシス(hemochromatosis)」という病態でも椎間板というクッションの変性が起こります(Hereditary hemochromatosis associations with frailty, sarcopenia and chronic pain: evidence from 200,975 older UK biobank participants. The journals of gerontology, Ser. A, Biological. sci. med. sci. 74 (2019) 337–342)(The spine in idiopathic haemochromatosis, Ann. Rheum. Dis. 30 (1971) 453–465)。

 

 

 

私たちは、余分な鉄という重金属を効率的に排出するメカニズムを持っていません。したがって、加齢と共に鉄の蓄積が増加していきます(Iron overload accelerates bone loss in healthy postmenopausal women and middle-aged men: a 3-year retrospective longitudinal study, J. Bone Miner. Res. : the official journal of the American Society for Bone and Mineral Research 27 (2012) 2279–2290)。

 

実際に、腰痛は年寄りの病態です。

 

また加齢病とされる変形性関節症(関節炎)、骨粗しょう症も、鉄の関節や骨への組織沈着が報告されています(Iron homeostasis in health and disease, Int. J. Mol. Sci. 17(2016))。

 

以上から、鉄過剰と椎間板というクッションの変性との関連が推測されます。

 

 

最新の研究で、鉄過剰によって椎間板の変性が発生することが実験的に証明されました(Iron overload promotes intervertebral disc degeneration via inducing oxidative stress and ferroptosis in endplate chondrocytes. Free Radic Biol Med. 2022 Sep;190:234-246)。

 

椎間板は、脊椎(腰椎)という骨組織に軟骨でできた終板(cartilage endplate)という組織が結合しています。

 

鉄によって、この終板の軟骨細胞が死滅することで、クッションが変性・不安定化して脊髄を圧迫するようになります。

 

これが鉄過剰による腰痛のメカニズムです。

 

 

そして、この研究では、鉄をキレートして排出する薬剤によって、このクッションの変性を抑えられることが確認されています。

 

 

フリーの鉄は、ミトコンドリア障害(過剰の活性酸素・窒素種発生)、プーファの脂質過酸化反応によって最終的に細胞死(Ferroptosis)を引き起こします(拙著『ハチミツ自然治療の最前線』『メタボリック・スイッチ』参照)。

 

鉄過剰による病態として、動脈硬化、心不全、腎不全、パーキンソン病、アルツハイマー病、骨粗しょう症などあらゆる慢性病が引き起こされることが報告されていますが、腰痛の原因になる椎間板変性も鉄過剰が原因となっているのです(^_−)−☆

 

 

 

関連記事

  1. 『小児はなぜ新型コロナウイルス感染症にならないのか?』

  2. 『「果糖中毒」を斬る~その3』

  3. 『次のパンデミック対策の柱は、大気汚染の減少』

  4. 『遺伝子ワクチンとガンの関係〜リアルサイエンスシリーズ』

  5. 『NHK「食の起源」は本当か?』

  6. 『関節内ステロイド注射の危険!』

  7. 『ビタミンC欠乏症の真実』

  8. 『続・新免疫革命』