「ヒトという種が生きていく上では、IQが高いことよりも、EQが高いことが重要である。」
一時は、「EQ(情動指数、emotional quotient)」や「社会脳(ソーシャル・ブレイン、social quotient)」という言葉が流行しました。
いずれもヒトが社会で生き抜くための能力(ソーシャルスキル)の重要性を伝えたものです。
この社会で生きていく能力は、
・他人の気持ちを読み取る、汲み取る(協調していくため)
・注意深く行動する(騙されないため)
・高いモチベーションを維持する(心身の健康のため)
など様々なものがありますが、脳神経研究分野(ニューロサイエンス)では、これらの人間社会を生きていく上で必要な能力と脳の一定の部位の発達や活性化と関連性があるとされてきました。
実際は、これらの社会スキルの発達と脳の特定の部位の関係は複雑(多数の部位が関連している)ですが、前頭葉という前部の脳の先端にある「前頭前野(prefrontal cortex)」という部位はその代表とされています(基礎医学『ニューロサイエンス』参照。
これらの社会スキルの問題を抱えているのは、自閉症、うつ病や統合失調症などほとんどの精神疾患だけでなく、人格障害(パーソナリティ・ディスオーダー)と呼ばれているものや現代社会で大量産生されているサイコパス(グローバルエリートたちがその筆頭(^_−)−☆)まで広く存在しています。
さて、このような社会スキルを発達させるのに一役買うのが、ワンちゃんなどのペットです。
最新の研究で、ワンちゃんを見たり、撫でたりすると、社会脳の代表である「前頭前野(prefrontal cortex)」が著しく活性化することが分かりました(Effects of contact with a dog on prefrontal brain activity: A controlled trial. PLOS ONE, 2022; 17 (10): e0274833)。
この脳の活性化は、ぬいぐるみでは認められなかったといいます。
実際のワンちゃんを見るよりも、触れたり、撫でたりして接触することでより「前頭前野」が活性化します。
この脳の活性化は、ワンちゃんを撫で終わったあともしばらく継続していたようです。
つまり、ワンちゃんを撫でるだけで、私たちの精神状態だけでなく、社会スキルがより高まる可能性があるということです。
この研究では、自閉症などの治療としてワンちゃんをはじめとしたペットとの接触療法(animal-assisted therapy)の可能性を示唆しています。
ワンちゃんも含め動物と私たちは、まったく同じ仕組み(糖のエネルギー代謝)で生きています。
そして、彼らがヒトと同じ感情、思考をもっていることに私たちが気づいていないだけです。
ワンちゃんなどのペットとの絆ができれば、人間社会でも生き抜くスキルが自然と備わっていくのです。
もちろん、ワンちゃんの衣食住の環境を整えて、糖のエネルギー代謝を回してあげることが大前提です(^_−)−☆。