現代に急増している肥満やメタボの原因として、現代医学・栄養学では、昔から「カロリー摂取過多仮説(energy balance hypothesis)」 が唱えられています。
これは、消費カロリーに対する摂取カロリーが過剰になることで、肥満となるという“仮説”です。
この単純な図式(線形といいます)は、あまり思考を必要としないため、一般健康ポップカルチャーでも蔓延しました。
そして、実際に1970〜2010年の間に米国において22%摂取カロリーが増加しています。
しかし、複数の臨床試験および動物実験において、この仮説は否定されています。
食事中のカロリーを増やしても、体重が減少するか、変化がないという結果が出ているのです(Dietary Dietary goals for the United States: statement of The American Medical Association to the Select Committee on Nutrition and Human Needs United States Senate . R I Med J. (1977) 60:576–81)(Expenditure and storage of energy in man. J Clin Invest. (1987) 79:1019–25)(Lipids and risk of coronary heart disease The Framingham Study. Ann Epidemiol. (1992) 2:23–8)(Experimental obesity in man. VI: The effect of variations in intake of carbohydrate on carbohydrate, lipid, and cortisol metabolism. Horm Metab Res. (1974) 6:70–7)(Endocrine and metabolic effects of experimental obesity in man. Recent Prog Horm Res. (1973) 29:457–96)(A nutrition study on an indian reservation. J Am Diet Assoc. (1928) 3:215–22.)(Height, weight and skinfold thickness of Michigan adults. Am J Public Health. (1980) 70:1290–2.)(A reorientation on obesity. N Engl J Med. (1950) 248:959–64)。
なぜ摂取カロリーと消費カロリーで肥満が決定されないのでしょうか?
それは、肥満を防ぐ糖のエネルギー代謝(基礎代謝)は、食事の内容によって決定されるもので、カロリーが問題ではないからです。
具体的には、プーファやエストロゲンを含む食品を食べれば食べるほど、基礎代謝が低下して太りやすくなります。
それでは、何のために、このように誤った「カロリー仮説」を意図的に流布されたのでしょうか?
米国において、1976–1980年から 1988–1991年にかけて、肥満率が30%上昇しました。
この期間の食事内容を詳細に調べると、脂肪の摂取は11% 減少(プーファの摂取量は増えたが、飽和脂肪酸の摂取量がそれを上回って減少した)し、1日摂取カロリーも4%低下していました。
特筆すべきは、この期間に「果糖ブドウ糖液糖(high fructose corn syrup
, HFCS)」の消費量が10倍近く急上昇していたのです(Divergent trends in obesity and fat intake patterns: the American paradox. Am J Med. (1997) 102:259–64)。
脂肪は三大栄養素の中でも、1g単位あたりのカロリーが最も高いです。
その性質を利用して、飽和脂肪酸摂取量(実際は減少している)増加によるカロリー過多を肥満の原因にして、「果糖ブドウ糖液糖(high fructose corn syrup, HFCS)」の問題を覆い隠すのに利用していたのです。
現代人の摂取カロリーが高くなるのは、食品の質が高くなった訳ではなく、このような遺伝子組み替えの「果糖ブドウ糖液糖(HFCS)」の加工食品への添加が原因です。
みなさんも、あらゆる加工食品の原材料表示をしっかりとご覧になって下さい。
このGMの「果糖ブドウ糖液糖(HFCS)」があまねく存在しています。
私たちの食事は、決してカロリーベースで見るのでなく、その食べ物が糖のエネルギー代謝を高めるのか、低下させるのかという視点で見ることが大切です(^_−)−☆。