『ハチミツの咳に対する効果』

 

呼吸器内科の医師(倉原優医師)の投稿記事がyahoo ニュースに掲載されていましたので、そのまま転載したいと思います。

 

(転載開始)

「ハチミツは、咳に対して効果があるのか? 科学的根拠は」 yahoo ニュース、11/10(水)

 

はじめに

まず、注意事項を書いておく必要があります。1歳未満の子どもにはハチミツを与えることでボツリヌス症を起こすリスクがあるため、与えないよう注意してください。

 

さて、ハチミツと医学は切っても切れない関係で、古代ギリシャのヒポクラテスも、皮膚炎やその他の炎症に対してハチミツが有効であると考えていました。古代ローマの軍隊でも、ハチミツに浸した包帯を使っていたとされています。そして、咳に対してハチミツが有効であるということは、ここ数年でかなり知られるようになりました。

 

子どもに対するハチミツの鎮咳効果

いくつか研究がありますが、100人以上の子どもを登録した規模の大きな報告を紹介します。

 

まずは、就寝前に「スプーン1杯(2.5mL)のハチミツを摂るグループ」、「咳止めを飲むグループ」、「何もせず様子をみるグループ」のいずれかに無作為に割り付けた研究です(Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents. Arch Pediatr Adolesc Med. 2007 Dec;161(12):1140-6)。この研究では、ハチミツを与えられた子どもで、有意に咳が減少することが示されました。

 

その後、さらに多くの子どもを登録した大規模な比較試験が報告されました(Effect of honey on nocturnal cough and sleep quality: a double-blind, randomized, placebo-controlled study. Pediatrics. 2012 Sep;130(3):465-71)。この研究で用いられたハチミツは、ユーカリハチミツ、シトラスハチミツ、シソハチミツの3種類です。就寝前30分にスプーン1杯のハチミツを投与することで咳が減るかどうかが検証されました。結果、ハチミツでは子どもの咳が軽減しただけでなく、親の睡眠状態も改善することが示されました。子どもに咳があると、添い寝している親は必ず起こされますから、ありがたいですね。

 

 

過去の複数の研究をまとめて解析したところ(Honey for acute cough in children. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 10;4(4):CD007094)(Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis. BMJ Evid Based Med . 2021 Apr;26(2):57-64)、「急性の咳に対するハチミツは、何もしないよりは咳止めの効果があり、既存の咳止めと大差がないほど効果的」という結論になります。繰り返しますが、1歳未満の子どもにはハチミツを与えることでボツリヌス症を起こすリスクがあるため、与えないよう注意してください。また、咳の原因によっては効果がないことがありますので、安易にハチミツを選択せずにかかりつけ医を受診するようにしてください。

 

大人の咳ではどうか?

実は、成人ではハチミツ単独のまとまった咳の研究がありません。代わりに、ハチミツとコーヒーを混ぜたものを評価した報告があります(Honey plus coffee versus systemic steroid in the treatment of persistent post-infectious cough: a randomised controlled trial. Prim Care Respir J. 2013 Sep;22(3):325-30.)。コーヒーは気管支を拡張する作用が含まれているため、咳止めと気管支拡張効果を狙った合わせ技レシピということです。

 

この研究では、ハチミツ+コーヒーがステロイドや鎮咳薬と比較されましたが、結果的に介入1週間後の咳の頻度を比較すると、ハチミツ+コーヒー群で咳の改善が大きかったことが示されました。

 

ハチミツで咳が治まる理由

タイトルに科学的根拠と書いておきながら、実はなぜハチミツで咳が治まるのかよくわかっていません。ハチミツが複数の抗酸化物質を含んでいるからではないかという見解、甘みを感じる神経が咳に関与しているのではないかという見解があります。

 

ちなみに、ウチの子どもが3歳の頃、ひどい咳だったのでスプーン1杯のハチミツをあげようとしたら、ベーッと吐き出されました。私もハチミツをなめてみたのですが、ちょっと苦手でした。味にややクセがあるためか、好き嫌いがありますよね。

 

上記の研究ではハチミツの種類によって差はありませんから、自分に合うハチミツを選ぶのがよさそうです。

 

まとめ

現時点での研究結果をまとめると、ハチミツを与えてはいけない1歳未満の子ども以外では、咳に対するハチミツの有効性が統計学的に示されており、特に成人ではコーヒーと混ぜてハチミツを飲むとよいと言えるでしょう。

 

ただし、明らかな風邪や上気道炎など、病悩期間が短い咳に対して用いるようにしてください。原因がはっきりしない長引く咳の場合、ハチミツを使うよりも小児科・耳鼻咽喉科・呼吸器内科などを受診するようにしてください。

(転載終了)

 

ハチミツの鎮咳作用については、過去から複数記事にされています。

本文中にいくつか誤解がありますが、概ねハチミツの鎮咳作用がまとめられています。

よく咳が止まらないと言って病院受診すると、必ず鎮咳薬と抗生物質がセットで処方されます。

 

咳は排出症状ですから、日常生活で著しい支障が出ない限りは基本的には止める必要はありません。抗生物質は全く意味がありません(耐性菌を産み出し、むしろ病態を作る)。

 

ハチミツの鎮咳作用は、もちろん免疫抑制を解除する作用(=糖のエネルギー代謝を高める)です。

 

白血球の食作用が高まるため、咳で排出する毒性物質を含んだエクソソームを貪食・処理してくれますから、咳が治まってくるのです。抗酸化作用ではなく、酸化作用です(次作で詳述しています)。

 

それからハチミツの種類に関係ないというのも大きな誤解です。

ハチミツに限らず食品は品質にかなりの差がありますので、これも拙著や次作をご参考ください。

 

ハチミツはコーヒーだけでなく、ミルクとのコンビネーションでも鎮咳作用があります(Effect of multiple honey doses on non-specific acute cough in children. An open randomised study and literature review. Allergol Immunopathol (Madr). Sep-Oct 2015;43(5):449-55)。

 

私はいつもコーヒーにたっぷりの黒糖、ハチミツそしてミルクを入れています(^_−)−☆。

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