ある公園の街灯の下で、何かを探している男がいた。そこに通りかかった人が、その男に「何を探しているのか」と尋ねた。
すると、その男は、「家の鍵を失くしたので探している」と言った。通りかかりの人は、それを気の毒に思って、しばらく一緒に探したが、鍵は見つからなかった。
そこで、通りかかりの人は、男に「本当にここで鍵を失くしたのか」と訊いた。すると、男は、平然としてこう応えた。「いや、鍵を失くしたのは、あっちの暗いほうなんですが、あそこは暗くて何も見えないから、光の当たっているこっちを探しているんです」
この逸話は、「街灯の下で鍵を探す」というヒトという種のバイアス(自分の都合の良い情報ばかりを収集する“確証バイアス”もこの一つ(^_−)−☆)をよく言い当てています。
さて、日本は唾液で新型コロナウイルスに対するPCR検査を行なっている数少ない国です。
PCR検査自体が、新型コロナウイルスだけでなく、あらゆるウイルス診断に使用できないことは、4月末リリース予定の『ウイルスは存在しない・下巻』に詳述しています。
そのことを脇に置いて、現在のPCR議論を見ていきましょう(馬鹿馬鹿しいですが、お付き合いください(^_−)−☆)。
日本の慶応大学の研究で、PCR検査の増幅サイクル、いわゆるCt 値(Cycle Threshold value)についての見解が出ていました(RT-PCR Screening Tests for SARS-CoV-2 with Saliva Samples in Asymptomatic People: Strategy to Maintain Social and Economic Activities while Reducing the Risk of Spreading the Virus, Keio J Med,. 2021 Mar 19. doi: 10.2302/kjm.2021-0003-OA)。
Ct値は、少ない量の遺伝子(ウイルス核酸)を検出可能な閾値に達するまで、PCRで何回増幅を行ったかを示すものです。
一般的に増幅回数の数値が小さいほど検体のウイルス量が多く、大きいほどウイルス量は少ないとされています。
さらに、増幅回数の高いPCRでは、関係のない遺伝子の破片を拾って増幅することもあるため、信頼性が著しく落ちることが指摘されています。
今回、この研究では、増幅回数を35回(Ct=35)とした場合、感染を成立させうるウイルス量は100万粒子とした場合、コーヒーカップ1杯程度(125mL)の唾液を浴びないと感染しない試算になるといいます。
日常生活においてこれだけの唾液を一度に浴びることは非現実的であるため、他者への感染性は相当低いとし、増幅回数35回(Ct=35)を検査閾値として妥当とするという内容になっています。
???????
すでにこのPCRのCt値で新型コロナウイルス感染症の感染性は測れないことが報告されています(Ct value is not enough to discriminate patients harbouring infective virus, J Infect. 2021 Mar;82(3):e35-e37.)
さらに、次作でも述べていますが、すでにこのPCRのCt値と新型コロナウイルス感染症の重症度や死亡率とは、何の相関関係もないことが報告されています(No correlation between Ct values and severity of disease or mortality in patients with COVID 19 disease, Indian J Med Microbiol. 2021 Jan; 39(1): 116–117)。
つまり、いくらウイルス量が高く(仮に正確にPCRが目的とする遺伝子だけを増幅した場合)でも、新型コロナウイルスが感染することや重症化あるいは死亡率が高まることは証明されていないということです。
これは、PCR検査そのものが、信頼に値するウイルス感染診断のツールではないことを示しています。
同時に、仮にPCR検査をウイルス感染の確定診断とした場合には、病原体仮説(germ theory) が成立しないことを意味します。
感染を成立させうるウイルス量は100万粒子というのも細胞実験などによるものであり、それを現実の生命体に当てはめることができなかった(臨床実験で感染させることはできない)ことは、拙著でもお伝えしたとおりです。
糖のエネルギー代謝が回っていれば、コーヒーカップ10杯の唾液を浴びても感染症という病態(さまざまな毒性物質で引き起こされる体内炎症)にはなりません(^_−)−☆。
PCR検査も、「街灯の下で鍵を探す」のと同じだということが、後世の良識ある人たちから失笑をかうことは必至です(^_−)−☆。