昨日の記事で、様々な意味で非常に参考になったコメントがありましたので、そのコメントに対してシリーズで回答していきます。
今回は、「大変不躾かも知れませんが、その大豆は遺伝子組換えではありませんか。また、ラウンドアップが大量にかけられて育った物ではありませんか。」というコメントに関して回答します。
大豆の毒性は、現在のグリホサートで汚染されたGMO品種が市場を抑える前から存在しています。
大豆を主食とする中央アジア(中国)などでは、すでに1950年代から甲状腺機能低下症(甲状腺腫)が疫病になっていました(N Engl J Med 1965; 273:83-87)(J Nutr. 22-43-52 (1941))(Brain. 1991 Apr;114 ( Pt 2):825-41)(J Clin Endocrinol Metab. 1988 Dec;67(6):1262-71)。
大豆は、特に乳幼児には著明な甲状腺腫(クレチン症、橋本病)を引き起こします(N Engl J Med. 1960 Feb 18;262:351-3)。実際は甲状腺腫がなくても、甲状腺機能低下の人がたくさん存在しています(subclinical hypothyroidism)。
これは、大豆のエストロゲン(Isoflavones, genistin and daizin)が甲状腺機能障害を引き起こすからです(Environ Health Perspect. 2002 Jun;110 Suppl 3(Suppl 3):349-53)。
しかも、大豆などの植物性エストロゲンは、化学合成のエストロゲンよりもエストロゲン作用が強く、極微量で強いエストロゲン作用を示します(Endocrinology. 1997 Mar; 138(3):863-70)。
この大豆エストロゲンは、糖のエネルギー代謝の要である甲状腺だけでなく、形態形成維持(現代医学は免疫と呼んでいるもの)の要である胸腺にも甚大なダメージを与えます(Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 May 28; 99(11): 7616–7621)。
この生命の中心となる臓器障害によって、大豆はあらゆる慢性病を引き起こすのです。
しかし、グリホサートや合成エストロゲンをプロモートしないといけない多国籍企業は、大豆エストロゲンも健康効果があるという研究論文を近年は多数産生させています(同じエストロゲン物質なので、“エストロゲンは健康に良い”というキャンペーンを張らないといけない)。
グリホサートもエストロゲン作用を示すからです(PLoS One. 2019; 14(7): e0219610)(Food Chem Toxicol. 2017 Oct;108(Pt A):30-42)(Food and Chemical Toxicology 108 (2017) 30e42)。
そのために、専門家や一般の人の間で誤解や混乱が生じているのです。
このほかにも、大豆のプーファ、トリプシン阻害剤など健康に害を与えるものが、GMO品種になる以前から存在しています(大豆プーファに関しては、拙著にも詳述しています)。
大豆の毒性は、現在のGMOでも変化ありませんが、「グリホサート汚染によってさらに大豆のエストロゲン作用(毒性)が増強されている」というのがリアルサイエンスでの表現になります。