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『ベビーパウダーと卵巣がん』

米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が販売したタルク(滑石)を原料とするベビーパウダーが、卵巣がんを引き起こしたとして、2018年に損害賠償を求めた裁判で、ミズーリ州控訴裁判所は6月23日、一審の陪審評決を支持し、同社に賠償金21億ドル(約2200億円)の支払いを命じる判断を示しました。

過去にタルクパウダーの陰部周辺への使用と卵巣がんの発生について、多くの疫学的調査(16以上の症例コントロール研究など)で「黒」とでていました(Eur J Cancer Prev. 2008 Apr; 17(2): 139–146)。

J&Jは自社のタルク原料商品に含まれるアスベストの発がんリスクを消費者に警告しなかったとして、全米で数千件もの訴訟が起こされています。

しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、損害賠償に応じることなく(今回も最高裁に上訴するようです(^_−)−☆)、今年になって同じ疫学的調査で、過去の研究を覆す「白」となる研究が発表されるに至り、紛糾した事態になっていました(JAMA. 2020 Jan 7;323(1):49-59)。

タルクが卵巣がんを引き起こすのか、あるいはタルク原料製品に含まれるアスベストが卵巣がんを引き起こすのか、あるいはタルクと卵巣がんは単なる相関関係なのか・・・・

タルクやアスベストは、いずれもケイ酸塩(silicate)です。

ケイ素は、最近はナノ化されたものが、日常用品に使用されていますが、全身に炎症を引き起こすことを過去記事でもお伝えしてきました(Int J Nanomedicine. 2015; 10: 1463–1477)。

ケイ素化合物であるタルクも全身に炎症反応を引き起こします(Respiration. 2013;86(3):201-9)。

したがって、タルクパウダーを塗布した部位は当然のこと、ナノあるいはマイクロ化したタルクは全身循環に入って、全身で炎症を引き起こすことは間違いありません。

実際にごく少量のタルクパウダーでも、糖尿病が引き起されることを過去記事でもお伝えしました。

今回の裁判では、複数の相関関係を示す研究の蓄積とケイ素が体内で炎症性物質になるという基礎のサイエンスに基づいて判断がなされたのでしょう。

それに対して、J&Jは、自社のタルクを原料としたベビーパウダーについて、製品広告をめぐる裁判が絶えないことなどから、米国とカナダでの販売中止を発表。

一方で、それ以外の国での販売は継続する方針を表明しています。。。。。

OMG!

これは毎度のパターンですね。

自国で都合悪くなって余った製品は、属国の日本にまず売りつけ、そしてアフリカなどの発展途上国に補助金をつけて販売するというパターン。

J&Jは、現在は新型コロナウイルスワクチンの製造に力を入れています。

このような大手の薬品や食品メーカーの実態がよく分かりますね(^_−)−☆。

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