『副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)の真実』

副腎疲労についてのご質問や体験談が多数寄せられています。その一つをご紹介すると同時に、リアルサイエンスでこの誤解を解いていきたいと思います。

(転載開始)

10年以上前新宿にある栄養療法のクリニックに受診し、機能性低血糖症と診断され糖質制限を始め半年後副腎疲労と言われました。副腎疲労症候群と言う言葉に囚われ、高額な検査や診察を続けましたが、全く改善しませんでした。何年も糖質制限を続けましたが、疲労感は増すばかりで先生の御著書に出会いプーファーフリーと果物、砂糖を身体が欲するだけ摂り、2年半経った現在、漸く自身の体を取り戻しました。低血糖もおきません。

10代頃からの不調はプーファーと今は確信しています。こんなにシンプルな事なのに、未だに多くの人が副腎疲労と名づけられ、しばられているのは本当に悲惨です

是非副腎疲労など存在しないことを広く開示して頂きたいと願っています

(転載終了)

ポップカルチャーではよく「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」という用語が飛び交っています。

私も10年以上も前に、この種本の洋書を購入して読破しました。今思い返してもひどい内容でした(全く基礎的なエビデンスに基づいた理論展開がなく、誤認に誤認を重ねています)。

ここ数年、基礎医学講座でこの「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」の誤認について、詳しくお伝えしてきました。まだ一般にこの様な誤認がある様ですので、ここでもリアルサイエンスに基づいて解説していきたいと思います。

現代医学では、「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」なる病態を認めていませんが、「副腎不全(adrenal insufficiency)」あるいは「アジゾン病(Addioson’s disease)」という病名であれば存在しています。

「副腎不全(adrenal insufficiency)」あるいは「アジゾン病(Addioson’s disease)」は、副腎という組織が外傷や慢性炎症などで破壊されていることが原因とされていますが、本当でしょうか?

そもそも副腎という組織は、肝臓と同じく非常に再生の速い組織です。

副腎を破壊しても、すぐにステロイドを産生する副腎皮質の細胞が再生することが知られています(Endocrinology. 1990 Jun;126(6):3251-62)(Gegenbaurs Morphol Jahrb. 1976;122(5):731-60.)。

ここが再生能力の低いとされる脳や心臓の組織との大きな違いです(それなのに脳疲労や心臓疲労という言葉がない・・・・)。

コルチゾールなどのステロイドの産生低下を短絡的に「副腎疲労」としていますが、これは“幻想”にすぎません。

(肝機能低下を肝臓疲労、心機能低下を心臓疲労と呼ばないのと同じ😃)

現代人において、副腎でのステロイドの産生低下(副腎不全、アジソン病)の本当の原因は、慢性的に

●ステロイドの原材料がなくなったとき

●ステロイド合成を促すホルモンやビタミンの不足

によります。

まず、ステロイドの材料であるLDLコレステロールの合成をブロックして原材料不足にする張本人はオメガ3などのプーファ(多価不飽和脂肪酸)です(J. Nutr. March 1, 1961 vol. 73 no. 3 299-307)(Progress in the Chemistry of Fats and other Lipids Volume 9, 1971, Pages 607-682)。

プーファは副腎でのステロイド合成の要である甲状腺ホルモンやビタミンAの作用も強力にブロックします。特にオメガ3は、植物油脂より甲状腺ホルモンのブロック作用が強い(Metabolism. 1988 Oct;37(10):996-1002 )ので、強い副腎不全を引き起こします。

さらにプーファは、脳からの副腎でのステロイド合成の指令(ACTH)をブロックします(Endocrinology. 1990 Jun;126(6):3251-62.)。

これらの副腎でのステロイド合成をブロックする最大の原因は、オメガ3などのプーファ(多価不飽和脂肪酸)なのです。

ご紹介した症例も、糖質制限による低血糖→リポリシス(脂肪分解)→プーファの血液中への放出によって、プーファ過剰から甲状腺機能低下になったものです。

現代医学では、副腎不全に甲状腺機能低下が合併することがよく知られています(Lancet. 1972 Oct 7;2(7780):734-6)(Arch Surg. 2004;139(11):1199-1203.)(Endocrine Abstracts (2013) 32 P263)(BMJ Case Rep. 2015; 2015: bcr2015210506)。

これも当然の話で、甲状腺機能が低下する(=糖のエネルギー代謝が低下する)と副腎でステロイド合成が不可能になるからです。

甲状腺機能低下(=糖のエネルギー代謝の低下)と副腎不全の症状がぴったりと重なるのは、リアルサイエンスで見るとよく理解できるのではないでしょうか。

もうこれ以上、「副腎疲労」という様なフェイクサイエンスに振り回さずに、リアルサイエンスに基づいて自分の健康管理ができる様になって頂きたいと思います(^_−)−☆。

関連記事

  1. 『新型コロナウイルス感染症と医原病』

  2. 『なぜリウマチで壊れた関節でも元に戻るのか?〜2』

  3. 『子供の“ひきつけ”について』

  4. 『薬やサプリメントを見限った理由〜続編』

  5. 『なぜ「安全性の試験」は安全といえないのか?』

  6. 『遺伝子操作(GE)動物の利用という暴挙』

  7. 『音楽は創造性を高めるか?』

  8. 『ストレスの指標―ヒトも完熟する?』