心身の健康ヘルスケア・パーソナルコーチのリアル・サイエンスドクタ—崎谷です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する現在の検査(PCR,CT画像)のフェイクをお伝えしてきました。
そこで登場させようとしているのが、血液中のウイルス抗体を測定すると言ういわゆる“抗体検査”(serology test)です。
専門用語では、ELISA (serological enzyme-linked immunosorbent assay)と言います。
B型肝炎ウイルスやエイズなどの診断で、この血液中の抗体検査が用いられています。
皆さんも、ご自分の血液検査で調べられたことがあると思います。
感染症専門医は、この検査をゴールドスタンダード(診断の精度が高いものとして広く容認された検査(criterion standard))として、感染症の診断の拠り所としています。
自宅で少し指から出血させた血液をスマートフォンにかざすだけで、新型コロナウイルスの抗体検査が可能になるキットまで喧伝されています(Scanwell Health)。
症状が出てから、約14日後には、抗体検索が可能になるとしています。
それでは、今回の新型コロナウイルスに関しては、一体何の抗体を見ているのでしょう。
新型コロナウイルスの表面のタンパク質(S protein)やウイルス粒子を包むカプセルのタンパク質(N protein)と反応するタンパク質(抗体)を検索しています(Virus research. 2014 Dec 19;194:175-83)。
さて、この抗体検査(ELISA)。
決して、感染症専門医がよって頼れる存在ではありません。
抗体検査も、PCR検査と同じく、違うウイルス、バクテリアや細胞の成分を認識して陽性と出ることが多いのです。
これを交差反応(cross-reactivity)と言います(何のタンパク質に反応する検査キットかによって、交差反応も変化する)。
ジカウイルスの抗体検査でも、他のウイルス感染でも陽性になることが分かっています(Emerg Infect Dis. 2019 Jun; 25(6): 1153–1160)。
実際に市販されている新型コロナウイルス抗体検査では、他のコロナウイルス(SARS,MERS, HCoV-OC43)でも陽性になります(medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.18.20038059)(Clin Infect
Dis 2020 Mar 21. DOI: 10.1093/cid/ciaa310)。
そしてこの抗体検査は、私たちに感染に関する正確な情報を与えるものではないことにも留意しないといけません。
エイズウイルス(HIV)に関しても、「過去の感染を示しているだけなのか、現在のアクティヴな感染しているのかは、抗体の存在のみで判断できない」ことを明確に示しています(Centers for Disease Control (CDC).
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 1984 Jul 13; 33(27):377-9)。
現代のサイエンスでは、抗体の存在について完全に混乱しています。
抗体とは一体何なのか?と言う基本的なサイエンスから問い直すことが必要です(『新・免疫革命』参)。
抗体をリアルサイエンスの視点から斬ると、今回の新型コロナウイルス感染回復者からの血清輸血療法(抗体輸血療法)がいかにナンセンスかが分かります。
パレオ協会Q&A
『新型コロナウイルス感染症に対する感染症回復者の血漿注入について~その1』